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お母さんたちが電気について本音トーク「うちエコ診断」体験座談会(3)

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無理なく省エネできる環境省の「うちエコ診断」を受診したお母さんたちによる本音の座談会を通じて、国や大企業任せの電気・エネルギーから、自分たちで考え、選ぶ時代へのシフトが始まりつつあることが見えてきた。


診断員から詳しく対策メニューを聞く参加者たち。

エネルギーについて学び考え、政治に働きかけることも必要

――日頃からエネルギーに関する意識が高いようですが、エネルギーに関して日頃気になっていることは何ですか。

中山:電気をつくる素を選びたいと思いますが、現状ではユーザーが選べないことが不満です。経済も大事ですが、たかだかお湯を沸かすためだけに、放射能のリスクにさらされ、原発周辺の方々に負担をかけ、さらに事故の収拾のために命がけで働かなければならない人までいることを考えると、こんなに多くの犠牲を払わなければならない発電でなくてもいいと心から思います。

中能:多少高くても、自分が納得できる作られ方をしている電気を買いたいです。企業など大口のユーザーは選べるのに個人だけが選べないなんて、憤りを感じます。

井寺:私はエネルギーに無関心な人たちにどうすれば一緒に考えてもらえるかということが、いま一番関心をもっていることです。エネルギーについて考えて情報を集めだすと、最終的に経済システムや社会構造を変えなければならないということがわかってきます。それには選挙で信頼できる政治家を選ばなければならないので「選挙に行こう」と働きかけることになるのですが、一部の人たちを除いてまだそこまで議論が深まっていないと思います。

中山:そもそも会社に入ると政治と宗教の話はタブーと教育されるくらい、日本では政治の話がタブー視されています。特に女の人は政治やエネルギーの話から排除されてきた感がありますが、次世代のことを考えると、子どもたちの健康や安心・安全を第一に考える女性の想いをもっと政治に届けていくことが大事だと思います。

井寺:私も原発事故が起こるまでは、エネルギーのことも政治のことも正直無関心に近かったんです。いままで自分が何も知らなかったことも悔しい思いでいっぱいです。でも、事故が起きて、放射能への恐怖から子どもたちを守るために新聞や本やインターネットやSNSなどで必死で情報を集めるようになって、「子どもと未来を守る小金井会議」に参加するようになり、最初は放射能や脱原発にだけ向いていた意識が自然エネルギーや政治のことにまでどんどん広がっていきました。

馬場:そうですね。ネットワークに参加して、共通の関心をもつ人たちとSNSでつながってから、まずは地方自治から働きかけようということで、議会に足を運んだり、政策に関わる委員会を傍聴しに行ったりするようになりました。

中島:今まで公に出てくる情報が少なすぎたというのもあるけれど、情報が出始めた今でもまだ、テレビや一部新聞の報道を鵜呑みにしている人が多いのは残念です。少し調べれば、偏った報道がされていることも、大事な事実があまり報道されていないこともわかるはずなのに。

中山:フルタイムで働いていた時は調べる時間の確保に苦労しました。1時間早く起きて、その時間だけ集中してネットを見て調べるようにしていましたね。ネットの世界にはガセネタもあるので鵜呑みにはできないけれど、情報の波にさらされているうちにだんだんと真偽の見分けがつくようになるんですよね。最近では、信頼できる人からSNSで情報を得ることが毎日の習慣になっています。

――エネルギーの仕組みや社会構造の問題に気づいて行動する人とそうでない人の違いはどこにあるのでしょうか。

放射能やエネルギーについて勉強し、考え、意見を交わすお母さんたち。政治に働きかけることの大切さまで話題は広がり、座談会は大いに盛り上がった。

中山:エネルギーについて考えるうえで大切なのは想像力だと思っています。地球規模で見ると、1日1ドルで暮らしている国もあります。食べることもままならない人たちがいるのに、こんなに家中家電だらけの生活でなくてもいいんじゃないかと思います。といって、今さら洗濯板は使えないし、電気はもちろん使うんですが、電気がなくても暮らしている人もいると知れば「電気がなくちゃ暮らせない」という危機感から解放されることができます。

井寺:3・11 東日本大震災で起きた福島第一原子力発電所の事故により母親たちがつながり、「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」を立ち上げました。そして各地で行政や学校にはたらきかけるけアクションをおこす中で、世の中の仕組みの根本的な問題に気づきはじめていますから、必ず大きな変化が生まれると思います。

今はより多くの人にエネルギーへの関心を高めてもらって、国や大企業任せから自分たちの地域や暮らしをどうつくっていくのか、声をあげていくことが大事だと思います。その入り口として、うちエコ診断はとてもいいと思います。

中山:「うちエコ」って言葉がいいですよね。内容もすごくいい。それなのに、チームマイナス6%やチャレンジ25などと比べてアピールが弱い気がします。地球温暖化防止やCO2削減が必要なのもわかりますが、そこに限定してしまうのももったいないです。

「うちエコ」はエコロジーとエコノミーの両方の意味にもとれるので、テレビやラジオ、新聞なんかで「うちエコ」っていう言葉自体の露出を増やして「クールビズ」と並ぶメジャーな言葉にしてほしいですね。

井寺:「エネルギー・環境に関する選択肢に対するパブリックコメント」にしても、何人ものお母さん友達に「知らなかった。教えてよー」と言われました。潜在的に「知りたい」「何かしたい」という想いはあるので、暮らしの身近なところからエネルギーについて考えることができるうちエコ診断を、ぜひもっと強力にアピールして広めてほしいですね。

中能:環境大臣がACジャパンのTVコマーシャルに出てPRするとか。

馬場:PTA活動でみんなに呼びかけるのもいいんじゃない。今なら電気代の節約を入り口にすればお母さんたちもかなり受診すると思います。

中能:家庭の電気の使い方で中心となるのはやっぱりお母さんと子ども。「うちエコしよう」が合い言葉になるといいなって思います。まずは今日の診断でどのくらいエネルギー使用量を減らせるか、我が家の「うちエコ」から頑張ります」


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