コラム

原田朋のCHIAT\DAY滞在記 ~リー・クロウの下で365日~

世界のクリエイターが集まり、ロスで何が行われているのか?

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英語プレゼンは、突然やってきた。

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発表風景。いちばん手前がCDのカール。

目の前には世界各国から来た20人のクリエイターたちがいる。僕らのチームに順番がまわってきた。そこで突然、チームメイトのロジャーが「君のアイデアだから、君が発表した方がいい。君はできるよ」と言う。えっ何。さっき打合せしたときはロジャーがぜんぶまとめて発表してくれるような感じだったじゃないか。隣にいるコンビを組んでいるノゾミも「トモがやったほうがいい」と英語で言う。何で。完全英語プレゼン、初めてなのに…。

以前、こういう国際ミーティングに出たときは、プロの通訳の方がしっかりついてくれていたのだ。英語が伝わらなくて、いままで活発だった発表の場がシーンとなったらもう死ぬしかない。ロスに死す、だ。そもそも、どうして僕はこんなところに来てしまったのか。ジャパンから来た彼、なんかイマイチだね。とか思われたら、僕を送り出してくれたミキティにもカズーにも※、顔向けできない。手の汗のレベルが、新人の時の初めてのアイデア出し以来の水準に達していた。何で、どうして、僕は英語でクリエイティブなんかやろうと思ってしまったのだろうか。

※TBWA\HAKUHODOの松井美樹CCOと佐藤カズーECD

各国から特殊部隊、招集。

話は、着任した先週にさかのぼる。CDのカールが席にやってきて、いつものジェントルマンな物腰で言う。「トモ、ノゾミ。君たちの最初の業務はSWATだ。がんばって。期待しているよ」。来た、SWAT。TBWAグループの名物で、世界のTBWAネットワークのブランチからクリエイターが集まり、大規模なキャンペーンのためのアイデア開発をする合宿だ。今回は3日間。あるグローバルブランドの新商品をローンチするために、アメリカ各都市、カナダ、メキシコ、そして日本からのクリエイターが集まり、CHIATのCDが統括してアイデアを生みだすのだという。

なぜSWATは行われるのか?考えてみれば、ごく自然なことなのだ。グローバルに通用するクリエイティブを生みだすために、世界各国から異なったバックグラウンドと視点を持ったクリエイターが集まるというのは。アイデアを単に収集するだけでなく、チーム別のブレストと全体ミーティングをくり返し、刺激しあい、競い合って、アイデアの太い方向をつくり出す(その太い方向をビッグアイデアという。最近はプラットフォームアイデアとも言うようだ)。各国からやってきたクリエイターと交流しながら、チームでアイデアを出し合う楽しい合宿なのだ。…コトバに不自由さえしなければ。

カナダはドライじゃない。

午前中はCHIATの戦略プラナーからのオリエンを聴いた後、Googleのオフィスにて、Googleの戦略プラナーによる、昨今の情報環境とオーディエンスの行動についてのレクチャーを聴いた。このGoogleオフィスは、CHIATからほど近く、なんとCHIATの旧オフィスなのである。このレクチャーは、マス広告表現にとどまらないデジタルを活かしたビッグアイデアの開発をキモに命じるためだ。レクチャー後、各国から集まった20人以上のクリエイターは、4つのグループに分けられた。日本のトモ&ノゾミと、カナダのジョナサン&ロジャーが同じグループだ。

僕らはまず、ランチをいっしょに食べることになった。どちらかというと優しい感じの2人だ。外人は自己主張強い、なんていう日本での通念なんていい加減なものだ。ひょっとしたらアメリカでのカナダ人は、アメリカでの日本人と、立ち位置が近いのかもしれない。なんて考えながらのランチは、なんだか、盛り上がらない合コンのようだった。しかし、この4人で戦うしかないのだ。

アイデア発表までに僕らに与えられたのはたった2時間。最初の1時間を個別のシンキングタイムに、あとの1時間をみんなで話し合おうということになった。頭脳をフル回転させて、日本語で考えてみたり、今まで見てきた海外広告を思い出しながら英語にしたりしていたら、1時間なんてすぐに経つ。カナダチームが発表。英語は聞き取れないところだらけ。だがノゾミがアイデアを一つ一つ紙に書いてくれ、壁に貼ってくれたので、それを見ながらああ、僕の知っているので言えばあれに近いな、日本語で言えばこんな感じだな。と全力で類推し勘を働かせ、頭の中で補正しながら聞く。

左がADのロジャー。右がコピーライターのジョナサン。国際賞受賞多数の強者。

さて、僕も15個ぐらい夢中で発表した。ヘタな英語の必死さはもう、海外でトイレを探す日本人観光客並み。でも、それを聴いていた、コピーライターであるジョナサンが、君が言いたいのはこういうことでしょ?こういう言い方にしたほうが良くない?これならこういう展開もできるね?と英語コピーを直してくれた!優しい!親切!というか、今日初めて会ったチームでも、なんとか解決するぞ、他のチームに勝つぞ、という団結感がそうさせるのだ。競い合う方式には意味がある。全部のアイデアをADのロジャーがまとめ、清書。コピーのジョナサンが右脳でADのロジャーが左脳って感じ。いろんなコピー&ADの組み合わせがある。

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