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コラム

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続・パズドラのヒットに見る新しいゲーミフィケーションの可能性

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前回の世界的ブームを起こす秘訣!?ソーシャル先行型コンテンツの広がり方と前々回のパズドラのヒットに見る新しいゲーミフィケーションの可能性は“いいね!”や“リツイート”の数は違えど、両方ともかなり多くのアクセス数があったということである。筆者もソーシャル上で感じる限りにおいては、実は前々回の“パズドラ、、、”のほうがはるかに広がりを見せたように感じている。

というのも、こちらの方が通常反応することの無い層や通常得られないような反応が多かったからである。両方ともヒットした原因を分析解説しているのではあるが、前々回はちょっとわかりにくくしかも可能性を定義しているからではないだろうかと考えている。したがって今回はソーシャル上の反応を鑑みたうえでもう少しわかりやすくポイントを絞って書いてみたいと思う。

パズドラというゲームの“バトル”をゲーミフィケーションしたところが秀逸

ソーシャル上に多く見られた反応に“そもそもゲームでしょ”というものがあった。振り返ってみるとタイトルに“パズルとバトルの組み合せが奏功”と書いているので誤解を生んだのかもしれないのでもう一度解説を試みることにする。従来のアドベンチャー型ゲームでは“バトル”という行動をいかにリアルに再現できるかということを行っていたのである。例えば主人公が“こうげき”“まほう”“アイテム”“防御”などの指令を実行し、その効果に応じて相手にダメージが与えられ、自分のダメージが戦闘不能なる前に相手を倒すことができるかが重要であり、そのバトルに終始することを強いられたのである。

しかしパズドラでは“バトル”とは、戦闘の指令をパズルにするというゲーミフィケーションを行っているのである。ゲームの中でゲーミフィケーションを行って、ゲームの中の要素であった“単純なバトルを繰り返すことによる”単調感を払しょくすることができたのである。

パズルという平和で誰でもできる“2種類の”ハードルの低さ

さらには前回のコラムでも書いた“誰にでもできるハードルの低さ”という要素があると気が付いたのである、しかもそのハードルの低さには2種類のものが存在するのである。一つ目がゲームとしてのやり易さである。パズドラのパズルは色を組み合わせるという単純さのほかに一度操作した石は好きなだけ移動させることができるという今までにはない操作が加わっており、“失敗した”と思うことが少ないように設計されているのである。難しいゲームが続くとそれこそいやになるが、逆に石をつかんでいろいろ試しているうちにいい形ができ上がったり、偶然に連鎖が続くことによりさらに没頭できるようになっている。

二つ目のハードルが“バトル”そのものに対するハードルであろう。たとえゲームと言えども相手がモンスターといえども相手を傷つけて倒すということは、少なからず抵抗を覚える人も少なくはないのではなかろうか?

筆者は初期のドラクエのころから並んで買うほどのゲーム好きであったが、ゲームを進めるたびに、またバトルのグラフィックがリッチになるたびに“バトル”に飽きを覚えたのである。しかしこの時に筆者のマインドの中ではゲームのバトルを“パズル”他のものに変えるという発想はなかった。例が極端で違うのかもしれないが以前テレビ番組で、たしか米国であったと思うが会社間の紛争を腕相撲で解決するというものがあった。全く合理性はないのではあるが、短期間で平和的(?)に紛争を解決する方法としてある種感心したことを覚えている。

前回も書いたがこのようにゲーミフィケーションは広義に考えると非常に応用範囲が広いのである。ゲームのバトルを他の用途、例えば教育に利用したりゲームの成果を社会貢献につなげたり、いま世界中で起こっている紛争をゲーム化して解決したりと以前続・ゲーミフィケーション、消費者に受ける理由とは?で紹介したJane McGonial氏の「ゲームをやっている人の情熱や能力をバーチャルな世界だけではなく、本当の世界の問題解決に結び付けられないか?」との考え方に近づけるのではないかと考えるのである。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー

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