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全入時代、大学の社会的責任(USR)が問われている(1)

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今後の課題

非常に熱心に取組むランキング上位校が存在する一方で、残念ながらほとんどの大学が十分な対策が取られているとは言えないのが現状である。現場から聞こえてくるのは、「割り当てられる予算が少ない」「人員が足りない」「教員や他部署の協力が得られない」「学生が協力してくれない」などといった声である。予算や人員不足の問題は大学経営層の意識によるところが大きい。トップにやる気があれば、予算や人員の配置で多少の工夫はできるはずである。

また、人員の定期的な配置転換は日本特有の文化であり、対策を継続して進めていくにあたっての高い障壁である。熱心な担当者がいても、ノウハウと信頼を蓄積し、学生を巻き込み、経営層に働きかけるというところまでなかなか辿り着くことができない。

第4回エコ大学ランキング配点表
(クリックで拡大します)

一方、学生にも当然責任はある。施設担当者などが一生懸命に取組んでも構成員の大半を占める学生が協力しなければ、その努力も水の泡である。また、環境問題に関心を持って様々な活動に取組んでいる学生も、やりたいことや楽しいことばかりを優先するのではなく、自らの足下を見て実効的な活動に取組んでいく必要がある。

少子化が進む中で、学生の確保などの緊急の経営課題に悩む多くの大学にとって環境対策は当然二の次の課題なのかもしれない。しかし、公共性を有した教育機関である大学には、社会問題や環境問題に対して積極的に取組み、社会の取組みを牽引していくことに期待すると共に、我々も引き続き支援できることを模索していきたい。

上地 成就(うえち・じょうじゅ)
非営利活動法人エコ・リーグCCC 実行委員会メンバー。東京工業大学大学院博士課程在学中。大学1年次より大学内での環境活動に取組み始め、カーボンフリーコンサルティングでのインターンを経て、2009年よりエコ・リーグの活動に参画。これまでに国際協力機構(JICA)のベトナム3Rプロジェクトや第15回気候変動枠組条約締約国会議(COP15)、国連持続可能な開発会議(リオ+20)などの国際会議にユースとして参加。

 

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