「コミュニケーションの代理」という発想から生まれたお客さまとのコミュニケーションの形
森永乳業 広告部長 寺田文明氏
森永乳業・寺田氏は、「生活者が情報の発信者となり、企業と生活者との関係がフラットなものへと変化する中、企業目線の発想から脱却しなければと危機感を持つようになった」と話し、生活者視点の発想と、” Message with Emotion” の姿勢の重要性を強調した。
2008年から広告部長を務め、広告・コミュニケーションの変化の最中に身を置いてきた同氏は、「究極の広告は、個対個の対話」と力説する。
そう考えるようになったきっかけは、今から遡ること2年前、2011年10月にチルドカップコーヒー「マウントレーニア ダブル」のプロモーションを目的にフラッシュ・モブイベントを実施した時のことだ。
約30人の社員が同じ黄色のTシャツを着て渋谷センター街を練り歩いていると、その場に居合わせた通行人から「何をやっているのですか?」と声をかけられた。そこで、イベント意図や商品について話をしたところ、その人は商品に興味を持ち「今度買ってみようかな」と言ったという。
「その時、熱意を持って直接会話をすれば、お客さまの購買に向けた行動を促進できるということを肌で感じた。一方的にメッセージを発信するのではお客さまは動かない。
コミュニケーションの本質は、感情を伝達し合うもの。” Message with Emotion” の姿勢が不可欠であり、『個(社員)』対『個(生活者)』のコミュニケーションをしなくてはならない」と寺田氏は話す。
しかし実際に、すべてのお客さま一人ひとりと直接会話をするのは不可能だ。そこから「コミュニケーションの代理」という発想が生まれたという。
つまり、社員や広告会社、第三者などに「私自身」を、メディアや新技術、仕組みなどに「伝え方」を、直接コミュニケーションを代理してもらうという考え方だ。この代理の観点から、「エリア広告」「WEBマーケティング」「戦略PR」を重点分野として取り組んでいる。
今後は、生活者と企業とのコミュニケーションを考える視点として「アスピレーション(熱意・野望)×新技術」が重要になると寺田氏は話す。社員が生活者とリアルに向き合う対話と、WEBを活用したコミュニケーションの掛け算。
具体的な手法としては、WEBプロモーション、オウンドメディアやSNS、エリア広告などの活用を挙げた。
また、そうしたコミュニケーション全体をトータルにマネジメントすることの重要性も指摘し、それを担う広告部の今後の目標として、「真のコミュニケーションデザイナー集団になること」を掲げた。
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