コラム

朝日新聞10年生記者、ビジネスに挑む

RYAN、ニューヨークで起業家ジャーナリズムに出会う

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ワクワク感伝えるライブ・ジャーナリズムが活況に

大学内を案内しながらキャプランさんは、語ってくれました。

《コックが、トマト料理が得意だからといって、「うちの店ではトマトしか材料を使わない」と言うだろうか》

ジャーナリストは紙とペンという、昔からある道具(材料)だけにこだわるのではなく、プログラミング、経営学、デザイン、ソーシャルメディアなどありとあらゆるツールで取材・執筆・発表をするべきだという趣旨です。

どうしても伝えたい大切なメッセージがある、あるいは大学の入り口の標語が主張していたような「社会の課題を定義し、それを訴えたい」という時、道具にこだわっている暇はなく、そして時には自らお金をひっぱってきて持続可能な報道をおこなうことが大切だ――強烈なメッセージを感じ取りました。

新聞社が日本と同じように危機を迎えている米国では、いま、ニュース系のベンチャー企業がどんどん立ち上がり、既存の報道機関が新しい稼ぎ方を編み出しています。

こうした新しいニュース系のサービスは、昨年12月17日に早稲田大学でキャプランさんが講演で紹介し、東洋経済オンラインのこの記事でまとめられています。

東洋経済の記事では触れられていませんが、いま米国で注目されているのがニュースサイト『テキサス・トリビューン(The Texas Tribune)』という新興メディアのイベントビジネス。

報道機関というブランドを生かして、著名人や有識者を招くシンポジウムを次々開き、同社の2013年報告書によると、年間約80万ドル(約8000万円)のイベント関連収入があり、事業の大きな柱になっているといいます。

ライブ会場で握手をしたり、一緒に撮った写真をその場でもらえたりできる日本のアイドルイベントは店頭でのCDの売り上げ以外の収益を音楽業界にもたらしました。

同じように、記事を読むだけではなく、報道機関主催のイベントでニュースの中心人物の息づかいを感じながら「現場にしかないワクワク感」「ライブ感」にお金を払う読者が多いのだと思います。

ニューヨーク・タイムズや老舗雑誌『アトランティック(The Atlantic)』のような大手メディアの間でもイベントを開くのがちょっとしたブーム。時には公開の場で著名人をインタビューするその手法から「ライブ・ジャーナリズム」とも呼ばれています。

次ページ 「報道の中立性、どう守るか」へ続く

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