Sumallyの山本憲資さんに聞きに行く 「リスクテイクする覚悟がある人の仕事術(後編)

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変化の中で、揺れる開国派と鎖国派

廣田:社会の環境が目まぐるしく変化する中で今、社内が幕末の日本のような状況になっているなと感じています。「鎖国派」と「開国派」がみたいな2つの考え方があるというか。

山本:それ面白い例えですね。

廣田:これまでの延長では、未来は描けないのではないか。変化に対して変わっていかなければいけないのではないか、つまりは開国せざるを得ないんじゃないかと考える人たちも増えてきてたなかで、山本さんはそれより早く、一人で違う国に行っちゃった…みたいな感じだと思うんですけど。

山本:ジョン万次郎みたいですね(笑)。

廣田:今、コミュニケーションの世界で大転換が起きていて、アウトバウンドからインバウンドに変わってきたり、グロースハッカーみたいな存在、つまりは既存のマーケティングの手法を逆転させて、プロダクトができた後に広告を考えるのではなくプロダクト、サービスの企画から関わることで、そこに情報が広がるような、仕組みを組み込んだり…。グロースハッカーがサービス自体を改革してファンを増やしていくように、マーケティングの手法も根本で変わってきています。

リスクテイクしないとストーリーは作れない

山本:1年くらい前に電通の知り合いが、フィーをもらった上で成果報酬をもらうというビジネスモデルをやりたいと話していました。でも、自分が会社を興して思うのは、自ら事業をやっている立場から言えば「なぜ、広告会社に成果報酬を払わなきゃいけないんだ」と感じる部分がどうしてもあります。失敗したらリスクをとる成果報酬ならいいけど、そうでないなら主体者意識として、どうしても大きな差ができてしまうのではないか、と。

廣田:これは深い話ですね。

山本:現状のビジネスのスタイルを維持しながら、成果報酬ももらうっていうのは無理がありますよね。やっぱりリスクテイクをしないとコアなストーリーを作れないんじゃないかと僕は思っています。

廣田:広告会社がどこまでコミットするのかという問題ですね。僕のイメージでいうと今後、広告会社は人材派遣業みたいになっていくんじゃないかな、と。ペイドメディアだけでなく、オウンドメディアの領域にも広告会社の仕事が広がっていく中で、例えば3年間はそのクライアント企業の一社員としてオウンドメディアにちゃんとコミットしてUX(ユーザーエクスペリエンス)とかにも責任を持ちます、という形に。なので、一人ひとりの働き方も変わらざるを得ないというか。それに電通のような広告会社が「Sumally」のようなサービスをつくっていける可能性もあるのかな、と思うのですが。

山本:サービスをつくるとしても「Sumally」のようなSNSが適しているのかどうかはわからないですね。今からFacebookのようなサービスをつくれるかといえば、難しいと思いますし。これまでの広告会社は、クライアントの求めに応じて仕事をしてきました。自社が音頭をとってサービスを作っていくには、ビジョンとストーリーが必要ですよね。

廣田:覚悟も必要ですね。

山本:でも、電通4代目社長の吉田秀雄さんは当時、登場したばかりのテレビというメディアに着目し、自らリスクを取って、今のテレビ自体のプラットフォームをつくりあげたと言っても過言ではない。現在のようにクライアントの求めありきで、それに適切に応じていくという業態であるのも理解しつつ、リスクを取ってでも時代のプラットフォームを創ることにコミットしていく割合が増えるとますます 面白い会社になるのではないかと思います。

廣田:自ら語るストーリーとしてのビジョンだったり、コミット感だったり…。自分からアクションを起こす覚悟みたいなものが、今の広告会社にまだまだ必要なのかなと思いました。ありがとうございました。

(本文中・敬称略)

※本対談記事のダイジェスト版を「ウェブ電通報」でも掲載

Sumally Founder & CEO
山本憲資

一橋大学商学部でゲーム理論を専攻した後、電通に入社。その後、コンデナスト・ジャパンに転職し、雑誌『GQ JAPAN』の編集者に。テック系からライフスタイル、ファッションまで幅広いジャンルの企画を担当。2010年4月に独立し、Sumallyを設立。
電通 プラットフォーム・ビジネス局 開発部 コミュニケーション・プランナー
廣田周作

1980年生まれ。2009年電通入社。コミュニケーション・デザイン・センターを経て、12年からプラットフォーム・ビジネス局開発部。ソーシャルリスニングの知見に基づき、企業のソーシャルメディアの戦略的活用コンサルティングから、デジタル領域における戦略策定、キャンペーン実施、デジタルプロモーション企画、効果検証を担当。ソーシャルリスニングのソリューションとして「Sora-lis」「リスニングプラス」などの分析メソッド、ツイッター上での話題の拡散度合いを測る指標の開発にも関わる。社内横断組織「電通ソーシャルメディアラボ」「電通モダン・コミュニケーション・ラボ」などに所属。2013年、自著『SHARED VISION』(宣伝会議)を出版。

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【「電通 廣田さんの対談」連載バックナンバー】
■takram design engineeringの田川欣哉さんに聞きに行く
「自分で全部やってみたい人の仕事術」(前編)
「自分で全部やってみたい人の仕事術」(後編)
■Sumallyの山本憲資さんに聞きに行く
「リスクテイクする覚悟がある人の仕事術(前編)
「リスクテイクする覚悟がある人の仕事術(後編)
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・「マージナルな場に飛び出す人の仕事術」(前編)
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