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コラム

ドン・キホーテの訪日外国人誘致戦略の仕掛け人が行く!

1日の折り返し地点は昼ごはん?夜ごはん?――インバウンド販促の“秘伝”③

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ところで、いま日本を訪れている外国人の約8割、すなわちほとんどの訪日客は、そんなアジアからの旅人です。彼らは、昼間、富士山などの景勝地や名所旧跡を回り、ホテルにチェックインし、夕食後、夜市などで朝まででもショッピングを楽しもうと思っています。

ところが、日本の店、特に地方の商店街などは、19時~20時には閉まってしまいます。大型の商業施設でも21時にはたいがい閉まります。自分向けや本国の家族や仲間へのお土産物を探そうにも、店自体がそもそも開いていないのです。地方の商店街に行くと、レストランすら20時には店じまいしてしまいます。

大自然や温泉を目当てに訪日した旅行客も、「せっかく日本に来たのだ。旅館で夕食を食べ、温泉入浴後は、近くの街で買い物したりして遊ぼう!」と思っても、街はすでに真っ暗というケースも多いわけです。東京や大阪等の大都会でも、21時以降のショッピングはなかなかできません。

そんな中、一晩中買い物できるのは、我がドン・キホーテとコンビニくらいということになります。手前味噌で恐縮ですが、ドンキがお陰様で訪日客に広くご愛顧いただけているのも、ある意味自然な成り行きなのかもしれません。


深夜も営業するドン・キホーテ。訪日外国人客の夜のショッピング需要に対応する。

夜のインバウンド市場には、無限の需要があると思います。到底、我がドン・キホーテだけで対応できるものではありません。ぜひ、いろんな業種の事業者の方々にインバウンド対応のナイト市場への参入をお勧めしたいと思います。訪日客に対する日本の夜の魅力の提供は、圧倒的に足りていないと思います。

そんな中、新しい動きもあります。一つは、カジノの合法化の動きです。カジノ単独というよりは、IR(インテグレーテッド・リゾート)、すなわち「統合型リゾート」という形で、カジノと共に、マリーナやテーマパークや巨大ホテルや劇場やショッピングセンターや国際会議場を併設する複合レジャー施設を合法化しようとする動きです。

IR(カジノ)の醍醐味は、時間軸の楽しみができることです。ラスベガスもマカオもシンガポールも、IR施設はだいたい24時間営業です。夜の楽しみがある街には、世界中のお金持ちが押し寄せます。カジノ法案は国会で本格的に審議される見通しです。

もちろん、IRができることにより、周辺の治安悪化やギャンブル依存の人の増加も懸念されます。それゆえ、きちんとした監視と、対策はもちろん不可欠ですが、IRは日本のインバウンド競争力強化には欠かせない装置になるものと期待できます。(逆に、アジアでカジノを認めていない観光大国はほぼない状態になりつつあります。)IR(カジノ)の巨大なインバウンドの集客力は、一つの街だけでなく、その地方全体に大きな経済波及効果を生み出します。

また、もう一つの動きもあります。それは、政府の規制改革会議や、超党派のダンス文化推進議員連盟が、風営法のダンス営業規制の見直しを始めている動きです。

終戦直後の1948年に制定された「風営法」によると、ダンスホール等で「客にダンスをさせること」は、「風俗営業」に該当するとされ、そのため、なんとダンスクラブの営業には公安委員会の許可が必要なのです。今や欧米の大都市の賑わいの中心は、朝まで踊り明かせるダンスクラブの存在です。

ところが、日本では、風俗営業許可が必要な上、ホール面積(66㎡以上でなければならない)の要件もあり、地価の高い都心での出店は難しく、何よりも夜24時までの営業しか認められていません(繁華街では25時まで)。深夜から盛り上がって、朝まで踊り明かす世界のダンス文化の常識は日本では通らないのです。

今後法改正によって面積規制等が緩和され、深夜営業も認められるようになれば、日本のダンス文化、DJ文化の水準はもともと世界的評価を得ているほどですから、ダンスクラブの数も増え、日本の夜の魅力の競争力は飛躍的に増していくことが期待できます。(もちろん、風営法改正の前提として、深夜の騒音防止や風紀の乱れを抑止するための業界団体による自主規制や地域との連携が不可欠なことはいうまでもありません!)

次ページ 「 さて、みなさん。ここでもう一つの質問です。」に続く(3/3)