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コラム

謎解き作家・南晃の「謎解きのすすめ」

年間のべ50万人が参加、なぜ今「謎解き」が人気を集めているのか?

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日本における「謎解き」の歴史を振り返ってみる

私が作成している「謎」は、冒頭で紹介したような熟語を作るパズル(われただ問題)のほか、
なぞなぞ、クロスワードなどの言葉系のパズル、魔方陣やふくめん算なぞの数理系のパズル、
論理問題やポリオミノ(正方形をつなげたピース)問題などの論理系パズルなど、
さまざまな種類があります。

イベントでは、これらを組み合わせ、ときには再利用し、最後の「仕掛け」に向かって展開していきます。
ちょうど、推理小説でさまざまな証言や証拠をそろえ、
名探偵が登場人物を集めたところでトリックを暴くという構造に似ています。

それぞれの謎を解くことでヒントや情報を集め、それをもとに新たな情報を得、
気づきにくい最後の仕掛け(大謎)を解くという構成になっていることが一般的です。
では、これらの源流にあたる「謎」というものはあるのでしょうか。

歴史を振り返ると、日本では室町/江戸時代から、判じ絵や謎染めなど、謎を楽しんできました。
「春夏冬二升五合」や「生ビールあり〼」など、商売や広告の世界でも活用されています。

人目を惹き、店頭での会話のネタになり、巷間で話題になって、と、その広告効果は抜群です。
昔から謎や言葉遊びが大好きだったんですね。

「白寿」「卒寿」「傘寿」「小鳥遊(たかなし)」「一(かずはじめ)」「九(いちじく)」など、
挙げていったらきりがありません。

後半は相撲の四股名ですが、これもひねった名前で覚えてもらうためですので、
人目を惹く効果を期待したのでしょう。

日本独自の数学「和算」も謎の一種と捉えることができます。
各地の神社に問題(算額)が奉納され、それを多くの人が解いたというわけです。
これは、和算家のみならず一般庶民にも和算愛好家が増えた要因になったと言われています。

2008年には、パズル雑誌出版社ニコリが数独という数字のパズルを算額として奉納したことが話題になりました。
いつか、算額を使った謎解きを作ってみたいですね。

現在のような「謎解き」イベントは、SCRAP社が始めた日本独自のスタイルです。
近年海外にも進出し、人気が広がりつつあります。
言語の壁を乗り越え、熱狂的なファンも出てきたようです。

2007年以降、開催された謎解きイベントは1000以上

さて、SCRAP が始めた「リアル脱出ゲーム」を皮切りに、多くの謎解きイベントが開催されています。
2007 年に京都で開催された初めての謎解きイベントは、100名強の参加者の内、成功はわずか 6名。
子供だましではない、難易度の高い謎だったことがわかります。
それ以後、合計 1000を超えるタイトルの謎解きイベントが開催されています。
都市部を中心に、多くの地方都市でも開催され、自治体や観光協会主催のものも増えてきました。

商店街やショッピングモールを回遊するもの。街あるきや島まるごとをめぐるもの。
ホテルに泊まりこむもの。博物館や動物園、水族館を舞台にしたもの。
電話ボックス程度の広さでたった一人で挑むものから、球場や遊園地、広大なイベント会場で3000人以上が一斉に挑むものまで。
多種多様な形態のイベントが開催されています。

また、イベント形式のほか、テレビドラマ、映画、DVD、書籍と、多くのメディアへスピンオフしています。

謎解きイベントをテーマにした集合イベントも開催されています。
謎フェス、ナゾ学祭、こうべナゾトキパーティー、北の謎から、と、関東のみならず関西や北海道など、
各地で複数の団体が共同で開催する動きが出てきています。

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