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消費増税、直前!30日の〝駆け込みサンデー″とその後の対策は?

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竹内謙礼(いろは 代表取締役)

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4月1日の消費税アップを前に、駆け込み需要のピークが来ています。先日の3連休(3月21~23日)は、小さな街のメガネ屋さんから、ネットショップに至るまで、駆け込み購入による売り上げ増が起きていました。家具店では、単価の高いオーダー家具も売れており、ワンランク上のものも購入しようとする動きが見られています。

店頭では「増税まであと何日」とうたったり、まとめ買いを促したりしていますが、おすすめは、ポイントをうまく活用すること。4月から使えるポイントを駆け込み期にたくさん貯められるようにしておくと、買い控え期に「どうせならポイントを持っている店に行こう」という意識が働きます。

97年の消費税アップの時は、増税直前の最終日曜日が「駆け込みサンデー」と呼ばれ、低額商品についても買いだめ現象が起きました。今週末の3月30日が、増税前の最終日曜日。売り手側は、在庫や人員の確保が欠かせません。二度とないチャンスですから、この日だけは営業時間を延長するのも有効でしょう。

注意したほうがいいのは、3月に注文して、4月に発送となる商品の扱い。4月以降に発送する商品も税率5%とするのか、8%となるのか、店舗のスタンスをはっきり提示しておかないとトラブルのもとになります。

17年ぶりの増税ですから、3月下旬から4月上旬の支払トラブルはどうしても避けられません。事前にセッティングしてある受注管理システムも、税率が切りかわる際、何が起きるか分かりません。そんな時にどれだけ迅速に対応ができるかが最も重要で、その後も継続して顧客に来店してもらえるかどうかが決まります。

順調に駆け込み購入を伸ばした店舗なら、4月には「買い控え」による売り上げ減が訪れます。4月1日当日は、生活者にとって税率アップの実感がまだわきにくいですが、4月10~15日ぐらいになると、財布の中身の減り具合や、請求書を目にして、増税したことへの実感がわいてくるでしょう。

ただ、ここで売れないからといって安易に増税前より安値で販売してしまうと、顧客にとっては裏切り行為にうつりますので、ルールは守ったほうがいい。増税後に安価に購入できることを打ち出したいなら、駆け込み消費をあおる販促は控えるべきでしょう。

値下げせずに買う機会を顧客に提供する施策として試してほしいのは、生活者が「お得」に感じる販促。例えば下取りサービスや、訳あり商品、限定商品などです。リーマンショックや東日本大震災の際にも受け入れられた販促を振り返ってみるのもいいでしょう。

消費の冷え込みは、増税から3カ月後の7~8月で回復すると見ています。4、5、6月を乗り切れば、2015年の10月にもう一度増税が予定されていますし、そこまで買い控えを恐れる必要はないでしょう。ただ15年増税での買い控え期は、年末商戦に重なります。売り手にとってはその影響は深刻です。

また買い手にとって1万円のものを購入するのに、1万1000円支払うショックは大きなものになるでしょう。財布の紐をしめようと警戒心が強くなると、生活者は新たな店で冒険するより、なじみの店で買おうとしますから、今から1年半後の増税を見越して、既存の顧客を常連客へと育てていく対策を始めることが大切です。

竹内謙礼(たけうち・けんれい)
いろは 代表取締役
販促戦略立案、新規事業、企業アドバイスを行う経営コンサルタント。全国の商工会議所や企業などでセミナーや会員制コンサルティング事業を行っている。著書に『消費税アップを逆手にとる販促テクニック』など多数。