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クライアントから言われるまま、受け身の姿勢で制作していませんか?

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この記事は、「インタラクティブクリエイティブマスターコース」【5月28日(水)開講決定】の開講に合わせ、掲載します。

北村 健(ベースメントファクトリープロダクション 代表取締役/エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター)

クライアントから言われるまま、受け身の姿勢で制作していませんか?

クライアントに自分たちの経験やアイデアを元に制作者サイドの意見をきちんと能動的に伝える必要があります。このような対応は、クライアントに「使いにくい制作会社」という印象を与えるかもしれません。でも、そのことを危惧するのではなく、「彼らの言う通りにしてみて、本当に良かった」と信頼され、かゆいところに手が届くような対応ができる会社になることを目指した方がよいと思っています。

言い換えると、単なるWeb制作会社としてではなくビジネスパートナーとして果たすべき責任が何かを真剣に考えながら、「クライアントのビジネスゴールを達成し続ける」ことを大切にするということでしょうか。

実際、クライアント担当者との顔合わせでは、「本音を伝えることから始まる」という思いで臨んでいます。

経営企画部や宣伝部、広報部といった部署の方とやりとりをすることも多く、各企業の経営方針も違えば、ウェブに関するリテラシーの程度もさまざまです。そのため、はじめのうちはプロジェクトチームの定例打ち合わせを密に開催したり、担当者と活発なコミュニケーションをとり共通の感覚やことばを共有したりしながら、スムーズな進行を目指します。

それから、プロジェクトを成功に導くために大切なのは、「会社」括りではなく最後は「人」どうしの信頼関係がキーだということ。加えて、ビジネスとして「プロジェクトのゴール地点」を必ず明確にするということです。

「そんなことは当たり前ではないか?」と思われるかもしれませんが、明確にしているつもりでも、制作の過程ではさまざまな意見が飛び交い、突然、予定にない横やりも入ったりするので、コンセプトやテーマ、着地点がぶれてしまうことは多々あるのではないでしょうか。

もちろん、制作過程でさまざまな意見を交えた結果として方向を修正することはありますが、明確な意識なしに、いつのまにかコンセプトやテーマが変わっていた、などという事態は避けた方がいいでしょう。

もし途中でそのブレに気づいたら、たとえ時間が限られていても、クライアントと制作会社サイドの双方が、可能な限り元の地点に立ち返り、もう一度練り直してリスタートします。もしくは、「今からでも方向転換が可能だ」と判断できたら、たとえそれまでに作り上げたものが無駄になっても、全体の方向性を一斉に修正すべき瞬間を作るといったショック療法も時には用います。

途中で付け焼き刃的な処置でごまかすと、しだいに矛盾が生じ、一貫性を欠いてしまったりもします。そして最終的には間違いなく、良いものには仕上がりません。「どれだけ効率よく、目指すゴールにぶれることなく辿り着けるようにしておくか」ということが重要です。

ちなみにクライアントとコンシューマーの間の立場にいるような私たちの責任は、単に納品することではありません。

クオリティの高いものを納品するのは、当たり前のことであって、ゴールではない。例えば、企業サイトへのアクセス増加、ユーザーの回遊性の向上、販売機会の拡大や売り上げの向上、企業ブランドイメージの向上など、クライアントがどうしたくて、何を考えてどこに行こうとしているのか、一番に何を訴えたいと考えているのか……、そういうことを吸収しながら、ユーザー側の感覚を含めていかにそれらを実現するかを真剣に考えること。

そしてそれを実現することが、私たちが考える結果(=ゴール)でありビジネスパートナーとしての責任だと考えています。

当講座では、クライアントが望む提案をできるように、「制作者サイドとして、どのようにコンシューマー視点や感覚を身につけていけばよいのか?」といったこともお話できればと思っています。


北村 健(きたむら・けん)
ベースメントファクトリープロダクション 代表取締役/エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター

2003年に Web 制作をメインとする「株式会社ベースメントファクトリープロダクション」を設立。ナショナルブランドをはじめとする多数の企業サイトを手掛けており、機能性やデザイン性はもちろんのこと、高度なユーザーインターフェイスやサイト構築技術、斬新なアイデアなどを用いて、確実に成果を上げ高い評価を得てきた実績を持つ。
様々なセミナーやカンファレンスで講師も務める。著書に「現場のプロから学ぶWeb ワークフローベースメントファクトリープロダクションの仕事術」(マイナビ)がある。


【インタラクティブクリエイティブマスターコース】特別連載
第1回 「宮崎駿監督の引退会見にみる、心を動かすコミュニケーションの変化とは」
 ――澤邊 芳明(ワン・トゥー・テン・デザイン社長)
第2回 「インタラクティブなクリエイティブの企画の出し方のヒント」
 ――木下 謙一(ラナエクストラクティブ 代表取締役CEO/クリエイティブディレクター)
第3回 「Co−Creative = 協調型プロジェクトのすすめ」
 ――阿部 淳也一(ワンパク代表取締役 クリエイティブディレクター)
第4回 「音楽から考える、理想のクリエイティブ・チーム」
 ――村田 健一(ソニックジャム 代表取締役 チーフプロデューサー)
第5回 「インタラクティブクリエイティブにおける裏の最新技術」
 ――遠崎 寿義(ザ・ストリッパーズ 代表取締役社長/クリエイティブ・ディレクター)
第6回 「朝起きてまず、することは?ーテクノロジーが生活の一部となった消費者にいかに情報を届けるか」
 ――築地 Roy 良氏(BIRDMAN 代表)
第7回 「クリエイター総マーケター時代に生きる僕らのマーケティング」
 ――小池 博史(イメージソース 代表取締役)
第8回 「クライアントから言われるまま、受け身の姿勢で制作していませんか?」
 ――北村 健(株式会社ベースメントファクトリープロダクション 代表取締役/エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター)こちらの記事です

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