テクノロジーで、スポーツにイノベーションを起こせるか?――電通・佐々木康晴氏×太田雄貴氏×真鍋大度氏×暦本純一氏座談会

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――テクノロジーが進化するほど、逆にデータから人を感じられるというのは面白いですね。

佐々木:今回のセミナーは、「人を感じる」が大きなテーマでした。最新の技術は大好きだし、それも使うんだけど、それだけで終わってしまっては意味がない。人に近いところでテクノロジーを使うことで、すごく楽しかったり、役に立ったりする新しい価値が生まれるんじゃないかな、と。そこで今回、人に近いスポーツをテーマに選びました。スポーツは人間の身体感覚そのものですから。

暦本:僕は5年ほど前からジョギングを始めたのですが、その頃からGPSを着けて走っていて。スポーツをやっているのに、ちょっとギークな感じがいいな、と思って(笑)。そのあたりから、個人の趣味が研究室のプロジェクトになってきました。自分ができることが、研究対象になるのは面白いですね。

データを通じて人に近づく

――今回のカンヌの受賞作品では、データを活用したクリエイティブも目立ちました。

佐々木:クリエイティブに限らず、マーケティングの世界でもビッグデータがはやり言葉のようになっていますよね。

暦本:も、何億人ものデータを集積して分析していくと、ちょっと自分とはかけ離れたものになっていく懸念もあります。

佐々木:“ビッグ”ではない、一人ひとりの個性が見えるデータ、そこから得られる個々の発見の方が、クリエイティブに生きるヒントが潜んでいるように思います。ビッグデータの活用は、それはそれで重要だと思いますけど、それとは別機軸でデータを通じて、人に近づいていくことも考えないといけないな、と。

――セミナー中の観客の方たちの反応はどうでしたか。

佐々木:外国の方たちはリアクションが分かりやすくて、やりやすかったですね。今回のセミナーは、当社の社長も聞きに来ていたのですが、終了後に会って「全然、CMとか見せないプレゼンですみません!」と話しました(笑)。でも社長も今回、そのことを理解してくれていたようです。

真鍋:確かに。電通さんのセミナーなのに、広告作品が出てこなかった!

佐々木:以前のカンヌでのエージェンシー主催のセミナーは、各社の「クリエイティブ自慢大会」みたいなところがありましたが、電通に限らず、今はどこも変わってきていますね。

暦本教授に続いて、太田雄貴選手も登壇。

暦本教授に続いて、太田雄貴選手も登壇。

――テクノロジーとクリエイティブの融合というテーマは、各セミナーでも多く見られました。

佐々木:そうですね。もはや、テクノロジーだけの話をする時代ではなくなっていますし。さらに僕らは今回、それを発展させて「テクノロジーと人の融合」をテーマにしています。

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