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コラム

企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方

「特異点に気付くためには、定常的な状態が感覚でわからないといけない」——パイプドビッツ 佐谷社長に聞く

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オムニチャネルはこれまでネットがやってきたことをひっくり返す

——今後、注力していきたいことや業界のキーワードについて教えてください。

ここ最近のデジタルマーケティングのキーワードとして非常に注目しているのが「オムニチャネル」です。理由は、このオムニチャネルという概念が、現場まで通じる大きなコンセプトであるからです。

これまで、ネットの進化・普及によって企業は大きく言えばメールとウェブにシフトして、効率化・コスト削減のためにどんどんチャネルを減らしていった。例えば、問い合わせ窓口は、電話ではなくメールだけにしましょうとか、紙のダイレクトメールではなく、Eメールにして削減しましょうといったことがそれにあたると思います。企業のウェブサイトの「問い合わせ」から電話番号が消えたのなど、まさにそうで、効率化の名のもとにオフラインのチャネルをどんどん閉じていきました。

それにより確かに企業側は業務効率化・コスト削減ができましたが、実は一方で犠牲にされたのはお客様の利便性だったんです。「WEBなら、問い合わせは24時間365日対応になるよね」ということで、ごまかされていた面がありました。

しかし、今起きている「オムニチャネル」というのは全くそれの逆なのです。チャネルを閉じていったものを開こうとしています。それも、単にチャネルを開くということではなく、一人のお客さまを中心に据えて複数チャネルを開き、その人にとって都合の良い便利なものを選んでいただくという形です。今まで我々のようなネット業界の企業が不要だと思って捨ててきたものが、全部ひっくり返されている感じがしています。

——この「オムニチャネル」の動きに対応して、貴社で取り組むことは?

6月1日付で「オムニチャネル実践研究所」を設立しました。ここ1,2年でO2Oやオムニチャネルの取組みが出てきていますが、まだまだ実践にいたらない企業が多数あります。そこで、当社のソリューション提供のノウハウを活かしながら顧客とともにオムニチャネル施策を実践・検証し、顧客拡大、購買促進を目指していこうと考えて設立したのです。

まだ立ち上がったばかりですが、企業のサポートを実践的に担いながら、顧客とともに成功事例をつくり、将来的には、研究所の実績データから、指標や手順を公開することで、オムニチャネル化を推進していきたいと考えています。

<取材を終えて>

昨今、データ分析や統計などのスキルが注目されているが、決して高度なことが求められているわけではない。佐谷社長が指摘するように、身近なことについて「情報・数字を集めてそれを自身の武器にできる」能力ことが求められているのだと感じた。また、仕事一つひとつについて、なぜそうなるのかを考え、気付きを促し、自然と考えて行動する癖がつくような仕組みになるよう、工夫して取り組んでいるのが印象的だった。

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佐谷 宣昭
パイプドビッツ 代表取締役社長 CEO

1972年 愛媛県生まれ。2000年 九州大学大学院 博士課程修了 博士(人間環境学)。同年、株式会社サハラ(現 株式会社パイプドビッツ)を設立。2006年 東証マザーズ上場、2014年5月 東証一部上場。