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いまの時代のコミュニケーションに必要なのは「複眼思考」。——原田朋さん

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——今年のカンヌが今までと違うことは?

難しい質問ですね。

ただ、それぞれのカテゴリの意味を、みんながもう1回捉え直している感じはします。去年は「Dumbs Ways to Die」旋風が吹き荒れて、どれもこれも「Dumbs Ways to Die」でいいのかと、どのカテゴリの人たちも思ったから、それぞれの意味・本質が何なのかを考えました。その結果が先ほどの「PRの未来とは何だろう」だと思います。

同時に、PR会社がこんなすごいコンテンツをまとめてキャンペーンを引っ張っているんだという、PR会社の意味を拡張するようなことも起こっています。その逆に、同時に起こっているのは、PRやプロモやメディアという、従来型の広告とは違う武器を、みんなが標準装備し、使いこなし始めたということです。

複数カテゴリーの受賞作が増えていますが、それは、今この時代でコミュニケーションする以上、単眼思考ではなく、みんな複眼思考で考え実施しているということなんですよね。

自分たちって何だろうという突き詰めと、自分たちの未来の可能性を広げていこうという拡張の両方を考えている、そんな印象を受けます。やはりカンヌも広告界も、全てが過渡期なんでしょうね。むしろ、これからはずっと過渡期のような気もしますけどね(笑)。

——カンヌはすごく大きくなってきていて、いろんな国の人が来るようになり、いろんな作品が応募されるようになりました。それと同時に、そこに1本筋を通す難しさも出てきたと聞きました。

まさにそうだと思います。すごいね、面白いね、だけではなくて、「PRとしてこれは素晴らしい。なぜなら…」ということが筋を通すことだと思います。

僕らは企業やブランドにビジョンがあるという言い方をよくします。カテゴリのビジョンがあるとか、カンヌとしてのビジョンがあるとか、そういうことが求められてきていると思います。これは広告業界全体としてのビジョンということになると思います。

そして受賞作品を通して、ビジョンを発信することが、各部門の審査委員長の意志だと思います。だから、作品もそうですが、作品を発表時の審査委員長のコメントは大事なものだと、僕は思っています。

——やはりジュリー(審査員)によって方向性が変わるとみなさんおっしゃっています。PR部門は女性が多いですね。

僕は「世界の美魔女集結」と言っているんですが(笑)PR部門の審査員の半分以上は女性です。僕は日本で仕事をしていて、この分野に女性が特に多いなと思うことはありません。

これは聞いた話ですが、「PR会社は女よ。なぜならアドは“俺すごい”というのがアドでしょう。PRはリレーションだから関係を作るわけ、だから女の方が上手いのよ!」と言われました(笑)。本当かどうかは知りませんが。でも、アドが「俺、すごい」はそうかなという気もします。

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