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コラム

いま、地域発のクリエイションが面白い!第2弾

“東京コンプレックス”という負のエネルギーからのものづくり

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東京ずるい

ここまでは、私の主観で大阪と東京の違いを語らせていただきましたが、大阪生まれ大阪育ちの人は東京についてどう思っているのか、当社代表の2人にインタビューしてみました。

——よく「会社を東京に移さないの?」って聞かれますよね。

花岡:よく聞かれるよね。正直、東京には行きたい。でも東京に行かない理由は、家庭があるし子どもいるとか隠しておきたい現実的な理由もあるけど、一番は大阪にはライバルが少ないというところが大きいかもしれない。ライバルが少なければ、実験的なことができるチャンスは多いと考えてのことだけど、東京のほうが実験的な仕事があふれている気がして、今この瞬間もチャンスを潰しているのではないかと常に葛藤している。あと、大阪が日本を元気にする!みたいな大仰なことは考えていないけれど、やっぱり大阪が元気になってほしいとは思う。

——大阪は元気がないんですかね?

山根:大阪はどんどん元気がなくなっている。アートイベントや、クリエイター主体のイベントが少なくなったり、美術館やギャラリーとか、イベントをやる箱のような施設も減っているね。元々、大阪には大きな会社がたくさんあったのに、どんどん東京に行ってしまって、ここ数年で一気になくなった。 自分が住んで、仕事をしているから危機感があるよね。

花岡:大阪の会社と仕事をしていても、決裁権は東京にあるということが結構ある。東京に集中しすぎ。東京ずるい。ZURUI TOKYOですね。大阪が持っている個性をもっと出していくべきだと思う。

——東京と大阪の違いって何だと思いますか?

花岡: 大阪には芸能界とか音楽業界というような“業界っぽさ”があまりなくて、ベンチャーやスタートアップ業界のようなカテゴリーもない。平たく言うと、若い世代の金持ちがいない。そういう人は、ホストとか、そういう方面で儲けているという印象が強い。

山根:東京では、面白いことをしてもクールに「何の意味があるの?」と思われるイメージがある。大阪の人は面白ければ面白いって言ってくれるけれど、東京の人は「面白い=数字とれそう」と言っているようでなんだか怖い。

——東京の人の、「クール」とか「冷たい」というイメージって、どうなんでしょう。実
際、根っからの東京人はそんなことはないと思うんですが。大阪人が東京人をやたらと敵視しているという構図もありますよね。

花岡:敵視しているわけじゃなくて、羨ましいだけかな。ZURUI TOKYOと思っている。地方は「東京コンプレックス」のような負のエネルギーからものづくりをするんですよ。邪念からスタートするんです。だからうちは「邪企業」って名乗っている。 山根と僕は専門学校卒だから、学生の時は「芸大コンプレックス」や「高学歴コンプレックス」っていうのがあったんですよ。シュッとしている人は大体高学歴というのが悔しくて。今は「東京コンプレックス」を持ちながら、負のエネルギーを源に仕事に打ち込んでいる。だから、僕らをこうさせたのは東京なんですよ。東京が僕らを面白くさせた!ありがとう東京!

「3Kディスプレイ」。トークが苦手というコンプレックスを、顔を増やす作品に転換して乗り切った。

「3Kディスプレイ」。トークが苦手というコンプレックスを、顔を増やす作品に転換して乗り切った。

山根:コンプレックスって大事だと思う。学歴とかモテないとか、色々あったけれど、最近結婚して子どももできたから、コンプレックスが減って、良いものづくりができなくなるんじゃないかと心配。だから、「受賞歴に乏しい」「あの仕事はうちがしたかった」「うちは広告会社から嫌われているんじゃないか」とか、新しいコンプレックスづくりに励んでいます!

——……なるほど。地方には「東京うらやましいぜ、こんちくしょー!」という負のエネルギーから生まれるクリエイティブがあるんですね。最後に、今後の展望を教えてください。

花岡:いきなり日本を飛び越えて、大阪の笑いが海外で通用するのかということにチャレンジしてみたい。 それ自体ギャグだし、元々年内にニューヨークで個展を開こうと思っていたのだけれど、山根に子どもが産まれたので、来年こそは実行しようと思う。

山根:本当は東京が大好きなので、東京の仕事がいっぱいしたいです。あと、僕らにとっては「ボケる」ことがアイデンティティ。今回、トミモトさんがこの文章を書き上げてくれた後で花岡が「東京ずるい」を「ZURUI TOKYO」と書き直したんですが、そのことで15分くらい喧嘩していました。必要のないところで「ボケる」ことが他府県の人には理解できない。このギャップが地域性とするならば、それをうまく利用することで大阪らしい価値観を発信できればと思います。

次ページ 「東京コンプレックスは東京にもあふれている」に続く