こやま淳子さん&三井明子さん登壇の“女子会”開催——宣伝会議賞特別セミナー

share

——自身の仕事の中で思い入れのある仕事は?

こやま:5年前に博報堂から独立し、フリーになって初めて手掛けた仕事で、TOHOシネマズのサービス「ママズクラブシアター」のシネアドです。低予算ではありましたが、「ママが周りの目を気にせず、赤ちゃんと一緒に入れる映画館」という、元々のサービスがすごく良いものだったので、絶対いいものを作りたいなと思った。そこでAOI Pro.のプロデューサーに相談したら、必要なスタッフを集めてくれました。キャストもみんなAOI Pro.の社員やその家族で、実際の母子です。広告作りは、潤沢な予算がなくても「いいものを作ろう!」という思いの下でスタッフが一つになれることがあるんだなと、素晴らしい経験になりました。

もう一つは、国際NGO プラン・ジャパンの「13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない。」という広告。「恋」というワードを入れたのは、初期の段階に戦略的な意図で決まったことでした。ただ真面目に「途上国の女性が大変です!」と言っても「遠い国の出来事だから自分には関係ない」と素通りされてしまいますから、日本の女性にも自分事に感じてもらえるようにという仕掛けだったんです。でもそれがキャッチーすぎたのか、ネットではたたく人や揶揄してくる人もいて。当初はすごくドキドキしましたが、クライアントには「反対意見含め、反響があるのはいいこと!」と言ってもらえたし、実際、資料請求も例年の3倍になるなど、いい効果も大きかったので、「広告は、賛否両論あっていいのだ」ということに気づいた。一皮むけた仕事でしたね。

三井:ラジオCMと迷いましたが、この「女子会」でひとつご紹介するとしたら、オンワード樫山のファッションブランド「23区」のキャンペーンです。初めて、自らクリエイティブディレクターも務めた仕事だったこともあり、印象に残っています。同一のクリエイティブで、テレビCM、新聞、雑誌、ポスターなど色々なメディアで展開しました。23区を、もっとターゲットに「自分のもの」と思ってもらえるブランドにすること。そして女性を応援するブランドとしてのイメージを確立すること。この2つの目的がありました。

おそらくクライアントがイメージされていたのは、有名な女優・モデルをたくさん起用して大成功した、資生堂TSUBAKIのようなキャンペーンだったのではないかと思うのですが、予算の都合上、タレントは一人しか起用できない。そこで、コピーの切り口を広げて、メッセージをたくさん発信しようということになったんです。その中に一つでも「好き」だと思えるコピーがあれば、23区を好きになってもらえるんじゃないかと。初めて、自らクリエイティブディレクターも務めた仕事だったので印象に残っていますし、ターゲットとの接点づくりから勉強させてもらう貴重な経験になりました。このとき書いたコピーは約3000本。こんなに量産できたのは、これまでの人生にたくさんのネガティブな経験があったからこそだと、自分の過去を初めてポジティブに捉えられました。

こやま:それ、わかります!自分がダメだったり、うまく人と付き合えなかったり、どこか違和感を覚えながら生きてきた経験が、コピーを書くときにすごく生きていると感じます。

三井:幸せすぎるひとは、コピーライターに向かないって話、聞きますよね。

こやま:そう思います。ポジティブ過ぎたり、あまり考えずに何でも吸収し過ぎてしまうひとは、書くことがないんじゃないかと……。

次ページ 「女性だからこそ、感じるやりがいやメリットはありますか?」に続く

Follow Us