——女性だからこそ、感じるやりがいやメリットはありますか?
こやま:メリットはありますよね。女性向けの商品だから、女性コピーライターに書いてほしい、という仕事は多いです。そういう需要に対して、女性コピーライターの数が少ないので、仕事がたくさんくるというのはある気がします。
三井:女性だから声をかけてもらえることって、実はとても多いですよね。こやまさんがおっしゃるように、確かに女性向け商品の依頼も多いと思いますが、最近は男性向け商品でも、特に家・車・保険のような高額商品は決定権が女性(妻)にあることが多いので、女性コピーライターに声がかかる機会が増えているのではないでしょうか。
こやま:たしかに。実は、男性向けの商品でも「いまの男性は草食化しているから、女性クリエイターにお願いしたい」と依頼を受けたこともあります。20代男性向けのとある商品を担当するにあたってグループインタビューをしたら、会話の内容が、まるで女子。30代男性コピーライターには、この気持ち、なかなか分かる人が少ないかもと思いました。
三井:若いときは、「女性だから」という仕事に抵抗を感じるかもしれませんが、本当はとてもラッキーで、ありがたいことですよね。女性差別と思わずに、おいしくいただいておいたほうがいいと思います。
こやま:「私だからじゃなくて、女性だから呼ばれてるんでしょ」って思うこともあるかもしれないけど、それでもいいじゃん!って。それをありがたくものにしていく、たくましさも必要ですよね。
——コピーの考えるときのコツを教えてください。
三井:私、事前に書いてきたメモに、「人に聞く」って書いてあります。自分ひとりでは、どうしても自分の幅の中でしか考えられないので……。
こやま:そうですね!一番に聞くべきは、クライアントの声だと思います。宣伝部の方はもちろん、できれば商品を作った方。なぜそれを作ったのか、その商品のどこがいいのか。そうして聞いたことの中から、自分の心に響いたことをコピーにするといいと思います。
三井:たしかに、クライアントの声は重要ですね。宣伝会議賞なら、クライアントからのヒントが掲載される号(『宣伝会議』11月号掲載 誌面オリエンテーション)を読んだり、その商品を使っている友だちに、使用感などを聞いたりすると良いかもしれません。それから、書いたものを信頼できる人に見てもらうのは、とても参考になると思います。自分では伝わっていると思っても、その通りに伝わっていないことは多いですから。たくさん書くことももちろん大切ですが、その中から本当にいいものを選び取るのが、一番必要な能力なんじゃないかと思います。私もまわりの人の意見を聞くことが多いのですが、聞いているうちに、自分の“ひいき”のコピーが分かってくるんです。自分の心を決めるために、人に意見を聞いている部分もあるような気がしています。
こやま:私も、書いたコピーを人に見せることが多いです。私は、他の人がいいと言うものが、やっぱりいいんだろうなと思っていて。わりとすぐに、推しのコピーを鞍替えしてしまいますね……(笑)。
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