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そのコピーがあることで、世界は変わるか——TCC贈賞式開催される

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審査委員長の谷山雅計氏

10月29日、東京コピーライターズクラブの第52回贈賞式およびパーティが開催された。審査委員長の谷山雅計氏は総評として「今年は『そのコピーがない世界と、そのコピーがある世界。何が変わりますか?』というテーマで審査をした。
僕自身がコピーライターとして仕事をしているときの実感を元に定めたテーマ。コピーライターをしていると、自分の書いた言葉がどのくらい機能するのか、働くのか、少しだけ不安になることがある。クライアントも実は同じではないか。広告の色々な要素の中で、タレントは著名であるという分かりやすさがある。デザインは、専門に勉強した人の得意技なので、やはり価値があることが分かりやすい。しかし、コピーはたいがい平易な日本語だ。何か思いつきっぽいところもある。果たして、このひょろひょろっとした言葉が、本当に働いて機能しているのか?と思われることもあるのではないか。
中には、著名な企業のタグラインなど、一言だけで何十億円分の価値があると感じるものもある。しかし、広告のど真ん中に『コピーでござい』とレイアウトされているのに、働きをせず、30円分の価値もないのではないか?と思えるものもある。今年は、その違いをはっきり意識して審査をしたいと考えた。今年の年鑑に載るすべてのコピーがそうでありたいという気持ちで臨んだ」と話した。

また、谷山氏は最高新人賞のコピー「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」について、ネット上で非常に大きな広がりを生んだ点を評価。このコピーが時代をスパッと切り取っている証だとコメントした。TCCグランプリのソフトバンクモバイルのシリーズCMについては、「これだけ長い期間にわたって評価され続けてきたシリーズ広告が、また新たな地平を見つけ、さらに高みに登った。僕たち制作者に、その可能性を教え、勇気を与えてくれた」と讃えた。

最高新人賞を受賞したTBWA\HAKUHODOの山﨑博司氏は、「桃太郎のコピーは、幸せの形は一人ひとり違うことをテーマに考えた。この広告に関して、ある女性から手紙が届いた。そこには『この新聞広告を見て子どもが涙を流した』というエピソードが書いてあった。初めて広告の力で人の心を動かせたと実感できた仕事。コピーライターは幸せな職業だと思う」と受賞作にまつわるエピソードを披露した。

続けて、グランプリを受賞した電通の澤本嘉光氏は「広告賞は狙って獲っているのだろうとずっと思ってきたが、このグランプリは、狙わないで獲れた仕事。全部15秒のCMで、しかも15秒のうち半分は商品説明を入れている。こういう(賞狙いではない本道の)仕事で獲れたことが嬉しい」と話した。

会場では、この日初披露となる『コピー年鑑』も披露された。今年は富士山がメインビジュアルで、編集委員長は玉山貴康氏。書店では11月10日頃から発売予定。

最高新人賞を受賞したTBWA\HAKUHODOの山﨑博司氏

TCCグランプリを受賞した電通の澤本嘉光氏

TCCHALL OF FAMEは小野田隆雄氏が受賞した


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