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主役はモバイルからIoTへ、世界が注目するテクノロジーの祭典——現地からレポート「CES2015」最終回

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【前回記事】「主役はモバイルからIoTへ、世界が注目するテクノロジーの祭典——現地からレポート「CES2015」⑤」はこちら

毎年、米ラスベガスでは正月明けにCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)が開催されます。CESは出展企業が2700社以上、さらに世界140カ国から15万人以上が参加する世界最大規模の家電トレードショーです。また、ここ数年は家電以上にIT・テクノロジーに関する最新トレンド発信の場として注目されています。
(著者:電通 コミュニケーション・デザイン・センター プロデューサー森 直樹)

さてレポート最終回の今回は「ウォール・ストリート・ジャーナル」などでコラムニストをされている、NY在住のジャーナリスト・津山恵子さんに現地で話を伺いながら、2015年のCESを総括したいと思います。

大企業のハードウェアから、スタートアップのIoTへ

森:津山さんはこれまで、CESにはどれくらい参加されていますか?

津山:2004年からの参加なので、今回で11回目になります。1年も欠かさずに参加しています。

森:11回連続ですか! 10年も前だと、今のCESとはだいぶ雰囲気が違ったのではないでしょうか。2004年当時のCESの目玉は何でしたか?

津山:ただひたすら、テレビの大型化でしたね。パナソニックさんが105インチの大画面テレビを出して騒がれたのも、この頃ではなかったでしょか。あとは、PCがちょうどデスクトップからラップトップへシフトしている時代でした。各社、ラップトップの軽さを競いあっていた時代ですね。あとは、デジタルカメラ。高機能でコンパクトになって注目を集めていた。そんな時代でした。

森:ハードウェアがメインだったということでしょうか?

津山:そうですね、今よりも完全にハードウェアが花形でしたね。
あと、当時の基調講演はマイクロソフトのビル・ゲイツ氏でした。ビル・ゲイツ氏の基調講演を聞くために、基調講演会場は長蛇の列。というのも90年代の後半に、これからはインターネットの時代だと彼が発言したのもCESの場だったからです(その後、インターネットは急速に拡大)。年の初めに、ビル・ゲイツ氏の家電予測を聞くというのが、エンジニアからマーケターまで、米国の業界全ての人たちがやらなくてはならない、“初詣”という感じでしたね。

森:時代を感じますね(笑) 
では、ここ数年でのCESでの変化や傾向でお感じになることはありますか?

津山:実はここ数年は飽きていたのですよ。あんまり目玉がないなと。もちろん、テレビは3Dや4Kが出たり、最新のモバイル端末などが出現したりもするのだけれど、それぞれテレビだけ、モバイルだけに閉じた話で、家電全体がインターネットにつながりますよっていう大きなトレンドは見えなかった。去年まではそんな感じでした。

森:去年くらいからトレンドが変わった?

津山:そう、去年から流れが変わりつつあるなと。
一つはビックプレイヤー(大企業)だけが花形商品を出して、多くの人やメディアの注目を集めていたのが、スモールビジネスが活気を持ち始めていて、スタートアップとか初日のUnveiledに出ているような企業(UnveiledはCESの1日前のプレス向けに行われるスモールビジネス主体のイベントで世界中から参加している)が盛り上がっている。データ的には、スタートアップの出展社数は二桁増になっているらしく、家電大手、大企業メインのCESといえども、スモールビジネスが面白いというフェーズになってきたのかなと。
もう一つは、Internet of Things(IoT)が見えてきた感じがしています。この大きな二つの流れが見えて、私個人としては数年ぶりに面白いCESになってきていますね。

森:傾向として大手のコンベンションだったCESがスモールビジネスの存在感が増していると。

津山:そうです。ウェアラブルとか、もちろん大企業もやっているけれど。小さい企業がやっているモノは面白いなと思います。多分、小さくなっているから?生産も有利なのでは。アプリと連携するヘルスケア関連なども、面白いスタートアップが多いのではないでしょうか?

次ページ 「IoTが見えてきたというのも、去年からの変化だと私も思っています。」へ続く