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主役はモバイルからIoTへ、世界が注目するテクノロジーの祭典——現地からレポート「CES2015」最終回

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ジャーナリスト 津山 恵子 氏

森:IoTが見えてきたというのも、去年からの変化だと私も思っています。津山さんはIoTによって、具体的にどんな変化があったとお考えですか?

津山:長い目で見ると、インターネットにつながる家電って、1995年大阪エレクトロニクスショーが最初だったと思うのです。冷蔵庫がインターネットにつながっていて、液晶の画面が付いていて…といったものはすでに発表されていた。ただ当時から最近まで、家電がインターネットに接続されると言っても、個別につながっているだけだったんですね。冷蔵庫とか電子レンジとか個別にネットにつながっているような。
でも、今のCESで見えている世界は、何かHUBのようなもので全てがつながっている。まぁ、そのHUBとはスマートフォンなんですけど、全てつながっていて一つのモノで全てが操作できる世界になった。特に、去年あたりからスマホを使ってというのが当たり前になってきて、これが1台あれば全てができる上、家電同士がつながっている。

例えば、朝起きるためのアラームがスマホで鳴ると、反応して窓のブラインドが空いて、ラジオの曲が流れて、キッチンのコーヒーが沸くとか、そんな世界が見えてきた。個別の物理的な家電だけでなくて、家全体がインターネットにつながっている。

森:コネクテッド・ホームですよね。米国では、コネクテッド・ホームは実現化し始めているのでしょうか?

津山:日本と米国との大きな違いは、郊外の家に住んでいる人は、車社会なのですけど、車で帰って来て車内から出ずにリモコンを押すとガレージの扉が開けられたりします。
あと子供を監視するモニターがすごく普及していて、スマホくらいの大きさの端末を寝ている赤ちゃんの側に置いて、自分は音声が聞こえるレシーバーを持つ。そして、赤ちゃんを2階に寝かしつけて、自分は1階のリビングでパーティーなんかやるんですね。で、赤ちゃんが泣いたら、レシーバーから声が聞こえるから2階の赤ちゃんの元へ戻る。そういう世話をするのが当たり前になっています。
アメリカ人はリモートコントロールの習慣が完全に身に付いている。そして、スマホの普及率も利用リテラシーも高い。だから、スマホが自宅の中のモノ全て動かせるようになれば、アメリカ人はそれをやるようになるのではないか、と。米国では大きな市場になると思います。

森:コネクテッド・ホームに限らず、つながる世界IoTが、CES最大のテーマだと私自身は思うのですが、去年以上にビジネスとして注目されていると肌で感じませんか?

津山:去年より、現実味がさらに増してきていると言いますか。過去最大値でしょう。昔はネット家電=電子レンジとか冷蔵庫だったものが、カーテンからブラインドから、電球から車から、全てのモノ・あらゆるモノ(Things)が入ってきているので。

次ページ 「業界に隔たりなくイノベーションが起こる」へ続く