小霜和也氏がAOI Pro.とクリエイティブ・コンサル契約をしたワケ

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今回は、いつものコラムの特別編。
博報堂でコピーライター・クリエイティブディレクターとしてキャリアを重ね独立、クリエイティブエージェンシー・no problemを立ち上げるなど、広告クリエイティブの領域で活躍する小霜和也氏が、2014年の秋に総合映像コンテンツ制作会社であるAOI Pro.とコンサルティング契約を結んだ。その主な活動領域はオンライン動画だという。
小霜氏はオンライン動画の領域で何をしようとしているのか。AOI Pro.は、なぜテレビCMで実績のあるクリエイターである小霜氏と、オンライン動画の領域で契約をしたのか。そこを紐解くと、“オンライン動画”が現在抱える問題点と目指すべき未来が見えてくる。
no problem/小霜オフィス クリエイティブディレクター・小霜 和也 氏、AOI Pro. 常務取締役 グループCOO・中江 康人 氏、ビデオリサーチ テレビ事業推進部長 石松 俊之 氏に話を聞いた。

左から、no problem/小霜オフィス クリエイティブディレクター・小霜 和也 氏、AOI Pro. 常務取締役 グループCOO・中江 康人 氏、ビデオリサーチ テレビ事業推進部長 石松 俊之 氏

——小霜さんとコンサルティング契約を結んだ背景を教えてください。

中江:AOI Pro.は上場しているCM・映像制作会社です。今後、CM制作という事業が拡大する可能性が薄ければ、別の領域に活路を見出さないといけない。それがオンライン動画のビジネスでした。幸い、今まで培った映像制作のナレッジを活用し、マーケティングソリューションとして提供する事が出来ればビジネス領域が今より10倍にも20倍にも100倍にもなると思った。それをきちんとディレクションしてくれる人材が社内にはおらず、社長の藤原から話をさせていただき、小霜さんと一緒に開発に着手することになりました。

——コピーライターという経歴ですが、どうしてオンライン動画の仕事をやろうと思ったのでしょうか。

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小霜:昨年後半から、コンサルティングという形で様々な会社のクリエイティブ活動をサポートするビジネスを始めました。実はAOI Pro.が最初のコンサルティング契約でした。まだコンサル事業にどう取り組むか漠然と考えていたときに、藤原さんに話をしたら『とりあえず契約しようよ』って(笑)。多分、その時には藤原さんに明確なビジョンとかは無かったと思う。契約してから、じゃあ何をするかという具体的な話になり、テレビCMとオンライン動画のワンパッケージ化という方針に結びつきました。先日JAAの方もおっしゃってたんですけど、ここは多くの広告主の悩みになっているんです。テレビとモバイルとで動画を一本化すると理解や共感が高まるってデータはすでに出ているので、すごく興味あるし、やりたいんですよね。でも誰に相談していいかわからない。なので、AOI Pro.で受け皿を作るといいんじゃないかと提言しました。それとはまた別のところでビデオリサーチさんからも何かしましょうとお声がけをいただいていたので、ならばまずこの取組みにご協力いただけないですかと。

AOI Pro. 常務取締役 グループCOO・中江 康人 氏

中江:テレビCMとオンライン動画を一本化しようと思ったのには理由があります。1つはスマホの登場。スマホに可処分時間をどんどん奪われているのであれば、そこで流れる動画のニーズがあります。もう1つは、テレビが見逃し視聴をはじめたこと。「見逃し視聴」と言っても、ただ過去の映像コンテンツが見られるということではなく、ネットでテレビを見るという放送と通信の融合する時代が、いよいよ来たということ。テレビはネットに接続されている画面が大きいスマートデバイスになるわけです。この2つの背景から、オンライン上で僕たちが何をやるべきかが明確になりました。オンライン上だから、成果が絶対に問われますよね、キャンペーンの結果を数字で可視化する時代ということです。だから今日の鼎談はビデオリサーチさんにも参加してもらっています。

石松:可処分時間の問題や配信経路の変化、デバイスの変化も本当におっしゃる通りだと思う。インターネット広告が出てきた当初は、クリック数が具体的に出るという点に注目が集まりすぎて、画面に露出していること自体のインプレッション効果は極めて過小評価されていた。今後はクリック数を獲得する効果としっかりと広告を見てもらう効果のバランスをとりながら、オンライン広告とマスメディアをどう使い分けるのかがテーマになってくると思います。どこまでがオンライン化した「スクリーン」になるかは冷静に見ていく必要はありそうですが。

——オンライン上でのインプレッションは、どうやって測るのですか?

ビデオリサーチ テレビ事業推進部長 石松 俊之 氏

石松:一般的には媒体社やレップが、配信数をインプレッションとして報告するのがほとんど。ただ、インプレッションの数え方もブラウザ単位だったり、ユニークユーザーの考慮があったりなかったり、どう定義するかは媒体ごとに違う。そこがオンライン広告の課題でもあります。テレビCMの世界で言えば、2000GRP出すと、CMの認知率は4割ぐらいというのが、一つの標準的な知覚のモデルとしてあります。ビデオリサーチでは、こういった基準をウェブの世界でも作れないだろうかと取り組んでいるところです。

——テレビCMを手がけてきた小霜さんから見て、オンラインだからこそ効果のあるクリエイティブというものがあれば教えてください。

小霜:オンライン動画の評価は、今まではコンバージョンだった。それはテレビとウェブの役割が全く違っていたからだと思う。テレビが気づきを与えて、需要を作って、ウェブで需要を刈り取るという構造の中では、当然、コンバージョンっていうのが評価になるわけですよ。ただこれから先は、マルチスクリーンの時代。つまりウェブが刈り取りじゃなくて、テレビ放送的な役割も果たすようになってきていると思います。オンライン動画も恐らくコンバージョンではない、評価基準が基礎になってくるんだろうなと思う。オンラインでどういう動画が必要かというと、CMと同レベルかもしくはそれ以上のクオリティのモノではないかな。これまでは通信の問題で、軽い動画しか見られなかったけれども、これからは重くて、高画質の動画も見られるようになってくる。映像のクオリティに関して言い訳はできないし、チープな映像では許されないということにもなりかねない。データドリブン※の世界でいうと、オンライン動画の視聴データを分析して効果検証し、それをテレビCMに反映させるという、ウェブで実験して一番効果の見込める映像をテレビCMにするということもできるようになっていますし。
※データドリブンとは、効果測定やリサーチから得られたデータを分析し、次の施策に活用していくこと

——効果の出る、オンライン動画の運用方法があれば教えて下さい。

中江:さまざまな動画活用法があると思います。例えば、「オンラインビデオマーケティング」。動画を運用して、視聴者の反応をデータ化します。そのデータを紐解いて、今までみつからなかったインサイトを発見する。そのインサイトを元に、全体のコミュニケーションやマーケティングの試作に落としていく。例えばそのインサイトを基にテレビCMを制作して流してもいい。要は、動画を運用することによって何か新しいマーケティング的な発見をして、ソリューションを提案することも出来るのではないかと。

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