コラム

新しい売上を作る「売り方のイノベーション」~買物客の購買行動を、売り場で操作する~

米国成功事例② P&GがTargetをビューティケアカテゴリーの「絶対行きたいお店」に変革した売り方のイノベーション

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【前回のコラム】「米国成功事例① スーパーで売れた「スターバックスコーヒー」とは?カテゴリーも活性化させた売り方のイノベーション」はこちら

買い物の「目的地」となる売り場を作る。

前回、コモディティ化しているコーヒーカテゴリーを活性化させた戦略フレームと、その戦略フレームを具現化したエンド・定番什器の展開を紹介しました。今回は、より大規模な展開となった事例で、純増利益を生み出す「ショッパーの捉え方」を解説していきます。

上記の写真は、全米で1,900店舗以上を展開し、第5位の売り上げ規模を誇る小売業Targetのコスメティック売り場とヘルスケア/ビューティケア売り場写真です。この売り場は、米国P&GとTargetの協働マーケティングとして取り組まれ、ショッパー・ベース・デザインで設計されました。

ショッパー・ベース・デザイン以前の売り場の写真(右)と比較すると、一見売り場什器や商品陳列方法を整理整頓し、きれいにしただけだと思われるかもしれませんが、ここにも、売り方のイノベーションのアイデアがふんだんに盛り込まれています。

Targetは、日本でいうところのホームセンター/ディスカウントストア―という業態で売上規模を伸ばしてきました。しかし、もともと百貨店のディスカウント部門が独立してできたという経緯があり、他のディスカウントストアと比べても、デザインセンスの良さに定評があります。特にアパレルは、おしゃれなファッションを廉価で提供するイノベーションに長年取り組んでいて、有名ハイブランドやセレブとの限定タイアップを行い、ディスカウントストアらしからぬ洗練さと新鮮さを保つ工夫をしています。

このような取り組みの成果もあって、近年は、単に「安いものを買う」のではない、購買金額よりも商品に対する自分の納得感に買い物の軸足をおく優良顧客層が、特にビューティケア・パーソナルケアというカテゴリーにおいて多く見られ始めました。これらハイ・ポテンシャルなショッパーの購買は、その他のショッパーよりも「買い物の納得感」に重きを置いているので、利益率が高いことも明らかになってきていました。

そうしたハイ・ポテンシャルなショッパーの購買行動から、ビューティケア・ショッピングのディマンドとインサイトを得て、新しい「売り方」に活用することをいち早く提案したのが、米国のP&Gでした。

米国P&Gの提案は、Targetのこのような経営戦略にも合致することから、協働してビューティ関連全般のカテゴリー群を対象にした売り方のイノベーション開発をスタートしました。売り方のイノベーションの目標は、売り場がビューティ関連の買い物客にとっての「目的地」となることでした。

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