ショッパー・ベース・デザインの積み木
私たちチェースデザインには、「ショッパー・ベース・デザインの積み木」という基本概念があります。
一番下の積み木は、ショッパー・ベース・デザインを進めるにあたっての「土台」としてやらなければいけないことで、「買い物をわかりやすくする」というステージです。購買決定に影響を与え購買行動を変える「主要因」によって、施策を設計することで、今回の事例で言えば「エンドベネフィットによる商品分類と陳列」で購買決定に影響を与えるというのが施策設計となります。これが出来ていないと、上の積み木を乗せても崩れ落ちてしまいます。
次の積み木は、サイネージや売り場コミュニケーショのことで、「買い物を導く」というステージです。「売り方の基礎」で販売棚が整うことで、初めてそこに付けられたサイネージやコミュニケーションが効果的に威力を発する、ということです。今回の事例で言えば、「直感的ビジュアル」で売っている商品群のエンドベネフィットを訴求することがそれに当たります。下記の写真は直感的なコミュニケーションを狙ったサイネージの基本アイデアです。
一番上の積み木は、「売り方」の基礎、売り場コミュニケーションが整ったあとの、ショッパーの興味を喚起・増幅する「仕掛け」のことで、「買い物を楽しんでもらう」というステージです。音や光、スマートフォンと連携したARといったテクノロジーなどが求められます。直接的な購買の要因にならないかもしれませんが、売り場に来るショッパーを飽きさせない工夫もここに含まれます。
今回の事例にも、一番上の積み木にあたる様々な「仕掛け」が用意されています。例えば、商品がよく見えるように棚にはLEDの照明を設置し、トライアルできるサンプルを用意。さらに、注目商品を高級品のようにアクリルのケースに入れてディスプレイしたりもしています。また、一部の店舗で導入されているタッチパネルでは、商品を探したり、商品情報を見比べたりすることができました。
今回は例としてシャンプー売り場を取り上げましたが、このプロジェクトでは、売り場全体をショッパーの購買意志決定のプロセスに合わせて、大々的に改造したものでした。今までなら別の売り場に置かれていたヘアドライヤーやコテ、拡大鏡などのビューティにまつわる商品をシャンプーやコンディショナーと通路を隔てて同じエリアに置き、今まで小売店のバイヤー都合で分類されていたカテゴリーを、ショッパー目線でとらえ、新たな売上を生み出すために売り場や棚を組み直しました。
そしてこれらの仕掛けは、ショッパーを驚かせたり、楽しませたりしながら、コール・トゥ・アクション・・・ショッパーに購買行動を起こさせる呼びかけをしているのです。
「新しい売上を作る「売り方のイノベーション」~買物客の購買行動を、売り場で操作する~」バックナンバー
- 最終回 売り方のイノベーションとオムニチャネル(2015/4/16)
- 日本で「売り方のイノベーション」を実施するための組織と商談の工夫とは?(2015/4/09)
- メーカーと小売業がWin-Winの関係で売り方のイノベーションに取り組むには?(2015/3/26)
- 米国成功事例① スーパーで売れた「スターバックスコーヒー」とは?カテゴリーも活性化させた売り方のイノベーション(2015/2/26)
- デート成功の秘訣は、ショッパーのディマンドとインサイトが出発点。(2015/2/12)
- メーカーと小売がWIN—WINとなる「ショッパー・ベース・デザイン」はこうして生まれた(2015/1/29)
- 買い物客の購買行動を操作するとは?米国 乾電池売り場の劇的改善(2015/1/15)
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