「ヴィレヴァン」と「B級グルメ」の意外な共通点
前回のコラムで「ヴィレヴァン」はどう生き残ってきたのか?という命題をお話しさせていただいたが、今回もまたその辺の話を少しさせていただきたいと思う。
結論から言えば、大手書店や専門店がひしめく中、「ヴィレヴァン」があえて狙ったのが、「B級」だ。「B級」を追求したからこそ生き残ってこれた。
「B級」とはディープにならないということだ。ディープになると深みにハマってしまう。「ヴィレヴァン」は、ハマらず、とんがっていないけど、とんがって見せる演出で生きてきた。
「B級グルメ」も、凝り過ぎていたり、高級食材を使い始めたらおかしくなる。安い食材でどこにでもあるようなものを、それっぽく見せるのが「B級グルメ」だ。それっぽく見せるポイントは、おそらく、ちょっとした工夫と、新たな組み合わせの妙であろう。既存のありきたりのモノを使って、意外な食材をちょっと加えたときにミラクルが起こり、「なにこれ、うめぇ~」ってことになるわけだ。
「ヴィレヴァン」は、まさに同じような手法を、書店業界で起こしたと言える。
「ヴィレヴァン」は、本と雑貨の「B級グルメ」だ。
専門知識を持った一流スタッフではなく、お客様からしたら自分たちと同じくらいの知識しかなさそうなスタッフが、トライアンドエラーを繰り返しながら、本と雑貨の「B級グルメ」を必死に売場で作り続けている。一見、ゲテモノに見えるようなものもあるかも知れないが、意外とクセになる。そんな店づくりができたら最高だ。
豊富な品揃えも用意できないし、専門的な品揃えも用意できない。
また、実用的なものが揃っているわけでもないし、大してシャレたこともできない。
ただし、ヴィレッジヴァンガードでは、ひまつぶしを提供することができる。
お客様が、気取らず、自由に店内をふらふらして、普段、立寄らないような売場にもなんとなく立ち寄ってみたりして、気軽に商品を触って、新たな発見をたまにしたりする。
店内では、かしこまる必要はまるでなく、店内どこを歩いてもよい。好き勝手楽しんで、ほどよいタイミングで帰る。買わないで帰っても、別に何の罪悪感もない。そんな店だ。
別に、これと言って用はないけど、なんとなく行きたくなる。
B級グルメみたいな店、ヴィレッジヴァンガード。ちょっと一冊、ご気楽に。
「「ヴィレッジヴァンガードに学ぶお店づくり~こんなんだってあり~」」バックナンバー
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