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イノベーションライオンのプレゼンから見えた、3つの重要キーワード——博報堂アイ・スタジオ 望月重太朗 カンヌレポート

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Scalability、Reality、そしてGame Changer

カンヌライオンズへの参加は今年で4度目。またSXSWに関しては、「Trade Show」と呼ばれる展示会に出展する形で、ここ2年ほど参加しています。

今年のカンヌ参加にあたって、一つだけ絶対にやり遂げようと思ったことがありました。「ライオンズイノベーション」部門では、ショートリスト以上の作品は出品者によるプレゼンテーションが行われるのですが、それらをすべてレポートしようということです。

そんなわけで、全作品のサマリーとプレゼンから見えた小ネタは、「TAPES」(望月氏と、同社インタラクティブ・ディレクターの柳太漢氏が主となり、お互いが気になるモノや活動へのアプローチを通し、レポート+考察を中心に発信する非定形情報発信ターミナル)のFacebookページですべてレポートしています。

実際にやってみて、これだけは確信がある。審査員以外で、会場ですべてのプレゼンを見たのは、世界中でも僕らだけでしょう(笑)。皆さん、自分の国のピッチは見るのですが、それ以外は興味がないのか、いなくなっちゃうんですよね。もったいない…。

で、上に書いたように、なぜ全部のプレゼンを見ようと思ったかと言うと、SXSWでノミネートされていたものが、こちらの部門でもノミネートされていたからです。また、ピッチという形で自分たちのプロダクトを説明するスタイルも非常に似ていますし、審査員も広告畑の人だけではなく、ベンチャーキャピタリストなどもいたりします(SXSWは「博士」のような人もいる)。これは、何か見えてくるものがあるんじゃないかと。
 
そして、そこから、3つの「超」重要なキーワードを発見してしまいました。シンプルながら超難題なこれらのキーワードをどう解釈し、自分たちで実現できることは何か?を本気で考え、手を動かさないと、このままではマズいなと感じています。
 
3つのキーワードとは、こちらです。 以下で一つずつ説明していきます。

(1)Scalability=それは本当に広がるか?ということ。
(2)Reality=それは現実的なものか?ということ。
(3)Game Changer=それは世界を塗り替えるアイデアか?ということ。

まず、(1)のScalabilityに関しては、誰もが口を揃えて言うワードです。

◯アイデアやサービスが、いかに多くの人に使ってもらえるか。
◯そして、そこからもたらされるビジネスインパクトが本当にあるか。
◯これらが兼ね揃えられた“プラットフォーム”足りうるか。

が主立った視点です。
 
次に、(2)のReality。広告の世界では“スキャム”という言葉を耳にすることが多いと思いますが、要は「実際にやってないのに、やっているように見せる嘘施策」を示す言葉です。また、これはテクノロジー領域でも言える話です。施策をフィージビリティー(実現可能性)とセットで語り、「本当に実現するの、これ?」という疑問に応えられないと、そっぽを向かれてしまいます。
プロトタイピングの分野では、たまに「将来的にはできる」という話でアイデアを語る場面を目撃します。が、その未来はいつやってくるのでしょうか。いま実現されたRealityが魔法のように現れた瞬間に、人は驚き、注目するのです。
 
そして最後、(3)のGame Changer。

◯そのアイデアは、世界を更新するアイデアか。
◯人々の生活や文化が、文字通りチェンジするのか。

そのようなビッグインパクトを出せるフレームと体験がセットになっているものをつくり出せるか、という視点です。
 
例えば、iPhoneやAndroidは、世界を更新するアイデアだったと言えます。AppleやGoogleは、自らのOSやプラットフォームをスマートフォンに入れて届け、皆がそれを使います。この小さな端末が、世界につながる窓になっています。その裏側で、ユーザーの行動データはすべてログとして記録され、それは企業にとって社会構造を変えるためのヒントになり、社会がさらに変化していくモデルを生み出しました。

 また、AirbnbやUberは、“シェアエコノミー”という概念を生み出し、文化構造を大きくチェンジしました。自分の家やクルマを、使っていないときに他人に提供する。互いに経済的に“ウマミ”がありますから、個人単位でサービス向上に努める。そのベースとなるフレームを支えているのがテクノロジーであり、ソーシャルコミュニケーションを上手く回していくシステム的な体験開発なのです。

次ページ 「日本に求められる、アイデアをビジネスモデル化する力」へ続く

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