日本に求められる、アイデアをビジネスモデル化する力

まさにこれら3つのキーワードをワークさせ、アプローチしているのがインタラクティブエージェンシー・R/GAです。カンヌで行われたR/GA Acceleratorのセミナーで、その手法をさらけ出していましたが、今回ライオンズイノベーションでゴールドを受賞した「BIORANGER」は農業のシステムを大きく変える可能性がありますし、同じくゴールドを受賞した「OWLET」は幼児の成長を見守る便利なアイテムとして拡大の可能性を感じさせます。

「OWLET」。子どもの健康管理を手軽にできるソックス型プロダクト。血液中の酸素濃度、皮膚の表面温度、心拍数を一日中監視し、データはスマホの専用アプリに送信される。

エージェンシーがスタートアップと手を組んで、資金面でバックアップしながら、ストーリーテリングを共同開発し、さらなるビジネスインパクトを生み出す「R/GAモデル」をどう読み解くかが、今後のキーとなるのは間違いないでしょう。R/GAセミナーについては、HACKistの公式サイトで公開している自主レポートに詳しく書いていますので、よろしければ。 

このような発見を踏まえ、我々自身やまわりの活動を見渡してみると、日本はアイデアを“ものづくり”として定着させる力は非常に長けていると自信をもって言えるのですが、それをビジネスに転用する方法や、社会構造を大きく塗り替えるモデルに成長させていくことはまだまだ不得意である、と思います。

ですが、あまり悲観はしていません。だって、そこに気が付いたなら、あとは“やるだけ”ですから。追われるより追いかけるほうが楽。失敗も成長につながると信じて、ビジネスを視野に組み込んだプロトタイピングを目指し、今後も活動していきたいと思っています。

最後に、個人的な反省と抱負を。今年はメディア部門でショートリストに入ったのですが、その先のメダルには辿りつけませんでした。そこまで行けたという感謝もありつつ、やはり悔しさもあります。カンヌとSXSWの今後のアプローチを見ながら、来年がどうなるか、いまから設計を頑張ってまいります。ではまた、どこかで！

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望月重太朗（もちづき・じゅうたろう）
博報堂アイ・スタジオ　クリエイティブ・ディレクター 兼 武蔵野美術大学 非常勤講師
インテグレートキャンペーン、企業ブランディング、アプリ開発、店頭デジタルサイネージなど、デジタルを活用したユーザーコミュニケーション広告の企画立案・制作に従事。また生活に潜む課題やネタを、テクノロジー視点でアプローチするプロトタイピングラボHACKist（http://hackist.jp/）を主宰。ADFEST GOLD、中国国際広告祭銀賞、広告電通賞 最優秀賞、Webby Awards Honoree、コードアワード グッドイノベーション賞など。

 

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