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コラム

「ヴィレッジヴァンガードに学ぶお店づくり~こんなんだってあり~」

ヴィレヴァンの「棚作り」~ストーリーを売る、気分を売る

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本のチョイスは、15秒以内で

私が本の情報を収集するのに、よくやっていた方法は、非常にアナログな方法でお恥ずかしい限りなのだが、こんな感じでやっていた。

新規タイトルを欲している棚のターゲットイメージを持って、大手書店へ行く。
そのターゲットになりきって、まず邪念を取り払う。
気合を入れる。

そして、超感覚的に、ジャケットデザインやタイトルが気になるものを、端からピックアップしてメモしていく。
趣味性の高いこんなジャンルまで??って思うような棚も、全部見る。
さらに気合を入れる。

ピンと来たジャンルに関しては、ささっている本を、端から取りだし、ジャケットデザインを見ていく。
まさに、レコードショップで、レコードを物色するようなイメージで、本を見ていくわけだ。

本の内容のチェック時間は、長くて15秒で終わらせる。
本に興味のないひとが、本を手に取り、パラパラするのは、長くてせいぜい15秒くらい。
15秒以内で、ひっかかる何かがない限り、ヴィレヴァンでは、どんな良い本でも購買に結び付かないからだ。

このように、ターゲットとする顧客のインサイトと我々に対するブランドイメージだけのフィルターを自分にかけて、本をセレクトしていく。個人的な趣味趣向は偏ったバイアスになりかねないので、できる限り客観的な視点で選書することはいつも心がけていた。

POPは、ジャケットデザインからの妄想を促すツールにすぎない

音楽に関しても、書籍とほぼ同じ考えだ。音楽も大手レコードショップやダウンロードサイトと同じやり方では到底勝ち目がないので、ヴィレヴァンでCDを売るには工夫が必要だった。

そこで私が重要視していたポイントは、ジャケットデザインと音のイメージがリンクしているタイトルを選ぶということだ。特に視聴できない場合、お客様が頼るのはジャケットデザインと帯と私が書いたPOPの3つだけだ。

こんな少ないリソースで、イメージを膨らませてもらうには、ジャケットデザインは重要なキーポイントになってくる。

そして、そのジャケットに貼る、私が書くPOPには、アーティスト情報は一切書くことはしなかった。

ジャケットデザインのイメージが膨らむようなコトバをちりばめながら、そのアルバムから感じ取れる雰囲気を表現するか、どんなシチュエーションで聞くと気持ち良さそうかなど、非常に感覚的なフックを狙ってコピーを書いていた。

member5

売りたいという店員の気持ちはオンラインでは味わうことができない

member6

非常に感覚的でアーティスト情報は一切なし

次ページ 「勝負は、本を読まないひとの気持ちになれるかどうか」へ続く