メディア、ソーシャルインサイトと商品のUSPを掛け合わせる
メディアインサイト、ソーシャルインサイトから浮かび上がってきたのは、「“壁ドン”がじわじわと世の中に注目されそうな気配があり、さらにキュンとしたい女性、とろけたい女性たちが増えている」という事実でした。そして、「舌も心もとろける体験ができるスイーツ『カフェマリアージュ』」というコンテンツを置くことでブランドへの落とし込みを図りました。
そこで、とろける体験ができるという商品USPに掛け合わせ、サンプリングイベントとして、とろける体験ができる「壁ドンカフェ」をオープン、そこで壁ドンをしてくれる人形「トロケッタ・マリアージュ」君をブランデッドなコンテンツとして登場させたのです。
この壁ドンをしてくれる人形「トロケッタ・マリアージュ」君は、「メディア」と「ソーシャルメディア」に取り上げられることを計算しながら、壁ドンを体験するであろう女性のインサイトに則って設計され、プロのクリエイターによって制作されました。名前はもちろん「カフェマリアージュ」の商品名から取っています。
この「壁ドンカフェ」と「壁ドン人形」は3週間の土日合計6日間だけの稼働でしたが、オープン前のニュースリリースの発信から、オープン1週間で瞬く間に情報が拡散し、話題になりました。
実は、情報が自走するように、いくつかの仕掛けをコンテンツ自体やその置き場所に盛り込んでいました。情報波及の仕掛け方については次回詳しく説明しますが、この「仕掛け」も上手く機能して、広告枠ではないマスメディアとソーシャルメディアを通じて、自走し、拡散していきました。
サンプリングイベントが高価値の体験イベントに変化
この事例は、「消費者インサイト」「メディアインサイト」「ソーシャルインサイト」の3つの視点をうまく調合したパブリック・リレーションズ発想によって、イマドキで新鮮なストーリーに仕立て直したこと、それを消費者が実際に参加や体験できるコンテンツに変換したことで、「壁ドンカフェに行ってみたい!」という共鳴や「とろける経験をしてみたい!」という能動的な行動につながったのだと思います。
そして、単なる「面白い」や「気になる」という話題づくりや拡散を狙っただけではなく、ブランドの世界観、商品特性を体現する形のコンテンツとして機能したからこそ、多くの体験希望者が商品との接点を持ち、新しいタイプのサンプリングの仕掛けとして機能したのではないかと考えています。
次回は、ブランデッドコンテンツをさらに自走しやすくするための、マスメディアとソーシャルメディアでの情報設計の仕方について、改めて考えてみたいと思います。
それでは、ごきげんよう、さようなら。
「PRの現実と理想の狭間でー業界歴23年、PRパーソンの試行錯誤ー」バックナンバー
- 悩み続けて20年、PRパーソンの僕が考える、パブリック・リレーションズ発想をマーケティングに活かす道(2015/8/17)
- ツッコミどころの設定と情報の置き方でコンテンツを自走させる!(2015/7/31)
- 話題だけでなく、存在意義をつくる!―消費者を巻き込むPR視点のブランデッドコンテンツとは?(2015/7/08)
- “広告スルー”の消費者を動かすブランデッドコンテンツとは(2015/7/01)
- パブリック・リレーションズ発想の時代が到来した!――狭くて、間違ったPRはもったいない!?(2015/6/24)
- 「PRの現実と理想の狭間で〜業界歴23年、PRパーソンの試行錯誤〜」インテグレート赤坂さんのコラムがスタート(2015/6/22)
新着CM
-
販売促進
ファンタジー好きに訴求するグミ カンロ、空想の果実をイメージした新商品
-
販売促進
横須賀市、メタバースで観光誘致 AIアバターの実証も開始
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
コラム
サムライマックのCMに「ありがとう」と言いたい(遠山大輔)【前編】
-
AD
広報
生活者の目線で考え、ブランドやコンテンツを幅広く届ける
-
クリエイティブ (コラム)
アイデアが苦し紛れにくっつく瞬間がある――「KINCHO」ラジオCM制作の裏側
-
特集
はじめに/あとがき/解説でざっくりわかる 宣伝会議のこの本、どんな本?
-
販売促進
ベビー用品の速達デリバリー 日本トイザらス、30分以内におむつやミルクを配達
-
販売促進
「認知獲得」「販促」の両方使えるリテールメディア特性がメーカーの混乱を招く