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コラム

PRの現実と理想の狭間でー業界歴23年、PRパーソンの試行錯誤ー

大切なのは購買喚起にまでつながるシナリオ設計—「壁ドンカフェ」に見る、自走コンテンツ

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メディア、ソーシャルインサイトと商品のUSPを掛け合わせる

メディアインサイト、ソーシャルインサイトから浮かび上がってきたのは、「“壁ドン”がじわじわと世の中に注目されそうな気配があり、さらにキュンとしたい女性、とろけたい女性たちが増えている」という事実でした。そして、「舌も心もとろける体験ができるスイーツ『カフェマリアージュ』」というコンテンツを置くことでブランドへの落とし込みを図りました。
そこで、とろける体験ができるという商品USPに掛け合わせ、サンプリングイベントとして、とろける体験ができる「壁ドンカフェ」をオープン、そこで壁ドンをしてくれる人形「トロケッタ・マリアージュ」君をブランデッドなコンテンツとして登場させたのです。

この壁ドンをしてくれる人形「トロケッタ・マリアージュ」君は、「メディア」と「ソーシャルメディア」に取り上げられることを計算しながら、壁ドンを体験するであろう女性のインサイトに則って設計され、プロのクリエイターによって制作されました。名前はもちろん「カフェマリアージュ」の商品名から取っています。

この「壁ドンカフェ」と「壁ドン人形」は3週間の土日合計6日間だけの稼働でしたが、オープン前のニュースリリースの発信から、オープン1週間で瞬く間に情報が拡散し、話題になりました。
実は、情報が自走するように、いくつかの仕掛けをコンテンツ自体やその置き場所に盛り込んでいました。情報波及の仕掛け方については次回詳しく説明しますが、この「仕掛け」も上手く機能して、広告枠ではないマスメディアとソーシャルメディアを通じて、自走し、拡散していきました。

サンプリングイベントが高価値の体験イベントに変化

この事例は、「消費者インサイト」「メディアインサイト」「ソーシャルインサイト」の3つの視点をうまく調合したパブリック・リレーションズ発想によって、イマドキで新鮮なストーリーに仕立て直したこと、それを消費者が実際に参加や体験できるコンテンツに変換したことで、「壁ドンカフェに行ってみたい!」という共鳴や「とろける経験をしてみたい!」という能動的な行動につながったのだと思います。
そして、単なる「面白い」や「気になる」という話題づくりや拡散を狙っただけではなく、ブランドの世界観、商品特性を体現する形のコンテンツとして機能したからこそ、多くの体験希望者が商品との接点を持ち、新しいタイプのサンプリングの仕掛けとして機能したのではないかと考えています。

次回は、ブランデッドコンテンツをさらに自走しやすくするための、マスメディアとソーシャルメディアでの情報設計の仕方について、改めて考えてみたいと思います。

それでは、ごきげんよう、さようなら。