不揃い農作物を魅力的にしたデザインの力、赤ちゃんが食べられるくらいに薄皮の『金八みかん』

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気候変動は農作物へダイレクトに影響を与える。スーパーに並べられるようなキレイな農産物がこれまでに比べ育ちにくくなっているが、見た目の悪いものをデザインの切り口で乗り越えた事例がある。地元に埋もれていた「幻のみかん」を掘り起こし、さらに通常は弾かれてしまうような不揃いのみかんを「みかんず」として人気商品へと仕立てた。それらを手掛けたMARU杉山氏から、デザイン着想の経緯を探る。

※本記事は、雑誌「環境会議2015年秋号」からの転載です。特集は「生命、生活、産業の源 2025年の水問題を考える」になります。

幻のみかんとの出会いが「みかんず」へのきっかけ

「みかんに顔の描かれたシールを貼る」。そんなちょっとしたアイデアで、本来なら廃棄処分や加工原料に回される不揃いな形のみかんを人気商品へ仕立てあげた事例がある。手掛けたのはMARUアートディレクターの杉山紘一氏。「みかんず」と書かれた箱を開けば、今にも動き出しそうな愛くるしい表情をしたみかんが隙間なく詰まっているのが見える。

「元々のきっかけは6年前にさかのぼります。和歌山県有田郡有田川町に赤ちゃんが食べられるくらいに薄皮が柔らかくて美味しい『金八みかん』という品種があるのですが、流通には乗らず地元の人だけが食べるという言わば幻のみかんとなっていました。このみかんの存在を知ったとある地元の方が『これは和歌山の宝だから、ぜひ全国へ知らせたい』と思い立ち、そこからご縁があって私へブランディングの依頼が来たのです」

赤ちゃんが食べられるくらいに薄皮が柔らかい「金八みかん」。ロゴは逆さまにみると、おしゃぶりをくわえた赤ちゃんにも見える。

「もらって嬉しい、贈って嬉しい」を基本コンセプトとし、パッケージには金八みかんのマークをデザイン。その形状はそのままだとみかんだが逆さにするとおしゃぶりをくわえた赤ちゃんに見えるという、金八みかんの特徴を表現したユニークなものに仕立てた。これらの取り組みにより金八みかんは人気商品となり、デザインは2010年度グッドデザイン賞、パッケージはペントアワードで銀賞、日本パッケージデザイン大賞で銅賞を受賞するなど一躍注目を集めた。

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