森勇一×池田紀行「ソーシャルメディアの広報効果測定を考えよう!」

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月刊『広報会議』の連載を書籍化した『デジタルPR実践入門』。8月31日、本書の解説者からライブでレクチャーを受けるイベントが開催されました。今回のテーマは「ソーシャルメディアの広報効果測定を考えよう!」とし、サッポロビールの森勇一氏、トライバルメディアハウスの池田紀行氏が登壇。アドタイでは、当日の様子をお届けします。
森 勇一(もり・ゆういち)
サッポロビール 営業本部 営業戦略部 デジタルマーケティング室

1995年サッポロビール入社。東北本部にて情報担当などを経験した後、2009年にサッポロブランド戦略部宣伝室に異動しウェブサイトリニューアルを実施。現在はデジタルマーケティング室にて各種ウェブサイトやソーシャルメディア企画運営に取り組む。

 

池田紀行(いけだ・のりゆき)
トライバルメディアハウス 代表取締役社長

1973年横浜生まれ。マーケティング会社、ビジネスコンサルティングファーム、マーケティングコンサルタント、バイラルマーケティング専業会社代表などを経て現職。『次世代共創マーケティング』『ソーシャルインフルエンス』など著書・共著書多数。

ソーシャルリスニングに再注目!

——近年、企業のデジタルコミュニケーション戦略のなかで、ソーシャルメディアの立ち位置はどんな風に変わってきましたか。

森:社内での関心度が格段に上がってきましたよね。以前は「炎上するくらいならやらない方がマシ!」という人も少なからず存在しましたが、今は社内でも立派な“メディア”として受け入れられています。

池田:最近になって「ソーシャルリスニングに取り組みたい」という相談がものすごく増えている点も特徴です。2008年ごろから口コミ分析の有料ツールを導入する企業が増えて、そのブームも落ち着いたかと思いきや、この1年でまた「ソーシャルメディアを使った口コミ分析に取り組みたい」という要望が来ているんです。

森:そうなんですよね。社内でも役職問わず「自分の会社がネット上でどんな文脈で語られているのか」という点に注目するようになってきたという印象です。

池田:対社内でいうと数値のフィードバックも重要ですが、Twitter上の定性的な生の声の方がグッと響いたりしますよね。「素晴らしい!これぞお客さまとブランドの絆の証じゃないか!」と。予算確保のための社内説得に苦労されている企業の皆さん、ここ重要です(笑)。

森:その感じ、非常によく分かります(笑)。私の場合は、ソーシャルメディアを「やるリスク」よりも「やらないリスク」の方が高いと社内に伝えています。今や、いつ、どんなタイミングで自社がネット上の話題となるかはまったく予想がつきませんから、ソーシャルメディアからの傾聴が自社を理解することにつながるんです、とアピールしています。社内イントラネットでも傾聴の結果を共有していますし、営業現場でも生の声を活用してもらえるようフィードバックしています。

池田:ソーシャルメディアで情報を発信し続けることは、ゆくゆくは顧客が企業の情報を「自分ごと化」してくれることにつながります。つまり顧客が企業の情報を「自分にとって必要な情報だ」と思うということ。人は「自分ごと化」すれば、その情報をもっと知りたいと思って検索します。すると、自然とコーポレートサイトへの流入が増えるわけです。それに、「自分ごと化」した人は、次にその情報をみんなに知ってもらうために「仲間ごと化」しようとして、自然と情報が拡散されます。この一連の流れが定着して、ソーシャルリスニングに取り組みたい企業がどんどん増えているんじゃないかと思うんです。

脱・効果測定のための効果測定

——企業におけるソーシャルメディアの価値が高まるなか、効果測定の考え方も変わっていますよね。

池田:数多くの企業を見てきて、そのほとんどが「効果測定のための効果測定の呪縛」にとらわれてしまっているのが現状ですね。森さんは、一連のデジタル関連施策のゴール設定はどのように考えていますか。

森:以前に比べると、効果指標としてのページビューやユニークユーザーといった数字は重視していません。当社のデジタルコミュニケーションの目的は、一言でいうと「ファンづくり」です。新規ユーザーの獲得とファン育成のサイクルはつながっていると考えています(図1)。新規のユーザーにオンライン上で様々なブランド体験をしていただき、その感動レベルが高ければ高いほど、その人が他のユーザーに情報を拡散してくれる確率は高くなります。そして、その情報を受け取った新たなユーザーがサッポロビールに興味を持ってファンとして深化していく。つまり、「ファン育成」と同時に「ファンからその友人への広がり」を目指しているんです。

池田:森さんがおっしゃるとおりで、ファン数を増やすことは目的ではなくあくまで“手段”なんですよね。何かと「KPI」という言葉を口にしたがる人は少なくありませんが、KPIとはKey Performance Indicator、つまりあくまで最終目的を達成するための“中間指標”にすぎません。次世代広報に求められているのは、KPIのその先にあるKGI(Key Goal Indicator)を測定し、評価すること(図2)。KGIには企業好意度の向上など様々な項目が挙げられますが、これらを意識しながらソーシャルメディアを運用することで、ゆくゆくは「あの会社って、いいよね」という空気感がつくられるわけです。

次ページ 「鉄道ファンの拡散力に注目」へ続く


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