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コラム

『編集会議』の裏側

若手編集者たちが“編集2.0”を考える ~『編集会議』番外編~【前編】

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【前回コラム】「又吉直樹『火花』をめぐる編集者たち——森山裕之 × 九龍ジョー × 浅井茉莉子【後編】」はこちら

「良いものをつくれば売れる(読まれる)」という時代が終わり、読者・ユーザーに「どう届けるか」という“コミュニケーションを編集する力”が問われている。そうしたなか、いま編集にはどんなアップデートが求められているのか――。そのヒントを探るべく、9月19日、『編集会議』2015年秋号の特集「編集2.0」の番外編として「若手編集者たちが語る“編集2.0”」のトークイベントが行われた。満員となった会場・本屋B&Bで、シナプス 稲着達也氏、現代ビジネス 佐藤慶一氏、ノオト 朽木誠一郎氏により語られた新時代の編集とは。

広義に使われるようになった“編集”

――皆さんの自己紹介に加え、本誌を読んでの感想やご自身の編集に対するお考えなどについてお話いただけたらと思います。

稲着達也:自分は2012年に新しいコンテンツ消費のあり方を追求しようと、「Synapse」というオンラインサロンサービスをリリースしました。その後、DWANGOで新規事業開発や、統合サービスデザイン室という新しい部署で新時代のUIとは何かを考える業務を経験しました。それまで兼業でやっていたのですが、現在はシナプスに本格復帰しています。今日は、事業寄りのキャリアということもあって、一般的な編集論はもちろん、マネタイズも絡めたコンテンツの未来についてお話しできればと思っています。

佐藤慶一:僕は新潟の佐渡島という田舎から出てきまして、大学4年生のときに就活するのがつらくてさまよっていたときに「現代ビジネス」という講談社のWebメディアに拾われました。現在もそこで編集者をしています。今年7月に、サイボウズさんのオウンドメディア「サイボウズ式」と一緒に「ぼくらのメディアはどこにある?」を立ち上げました。そもそもメディアってなんだろう?ということから、これまでの常識にとらわれずに新しい「メディア体験」を追求していく企画です。「企業」「場所」「個人」をキーワードに、既存のメディアの外側にこそ新しいメディアがあるのではないか?と仮説を立てて掘り下げています。

朽木誠一郎:8月までLIGというメディアの運営企業に勤めていたんですが、現在は退職して1カ月間だけフリーランスという立場で、武者修行中です(9月19日当時)。10月からノオトという編集プロダクションに入社し、一から編集やライティングを学び直すつもりです。LIGでは、「LIGブログ」の編集長という肩書きだったんですが、実はまだ社会人経験は1年半しかないんです。ちなみに現在は29歳です。なんでそんな年齢なのかと疑問に思う方もいると思いますが、まぁ、人生って紆余曲折があるじゃないですか(笑)。さきほど佐藤さんとも話していたんですけど、今回の『編集会議』2015年秋号の特集は「編集2.0」です。それでこのイベントも「若手編集者たちが語る“編集者2.0”」。すごく挑戦的だなと(笑)。

佐藤:本当のところ、僕らは“何点何”ですかね?

朽木:佐藤さんは、さきほど自分で「0.5かな」と言っていましたよね。すごく控えめだなと。だって佐藤さんが0.5なら、僕は一体どうなるんだって話ですよ。

稲着:僭越ながら自分は、『編集会議』誌面で謙遜のつもりで「自分たちはまだ1.5くらい」と言ってしまいました(笑)

朽木:じゃあ、とりあえずみんな“編集者1.5”ということでいきましょう(笑)。

稲着:そうですね(笑)。自分は実は『編集会議』って、紙のメディアに関わる編集者やライターの方を対象とした業界誌という認識だったので、あまり接点がありませんでした。こうしたイベントでも「事業家」として呼ばれることが多いんですが、「編集者」として声をかけていただいたのは初めてで、なるほどそうした捉え方もあるのかと。「編集者」として発掘していただき、ありがとうございます(笑)。

佐藤:シナプスさんの記事は、コミュニティを通じた体験までもが編集対象もなっているので、面白かったですね。ただ当たり前ですけど、編集者がたくさん出ているなぁと。「編集2.0」だから、編集者とは定義しづらいグレーゾーンの人たちをもっと取り上げても面白かったのではないかと思います。たとえば、カフェを経営しているけど広義には編集っぽいことをしているとか。

朽木:すごく編集者的な投げかけですね(笑)。

稲着:広義の編集と言えば、最近何でもかんでも「編集」って言われたりもしますよね。例えば、恋愛も経営も編集だよ、というような。じゃあ、いま本当の意味で編集とは何なのか?を考える価値はあると思うんです。そういう部分を『編集会議』がリードしていってくれたら面白いと思う。

朽木:たしかにこれだけ編集が広義的な意味で使われていることについて、紙の編集者さんたちがどう捉えているのかは聞いてみたいですよね。僕は『編集会議』のオウンドメディア特集で寄稿させていただきました。結局オウンドメディアの機能ってなんなの?オウンドメディアでどんなことができるの?といったことを書いています。「LIGブログ」はありがたいことに、オウンドメディアの成功事例として取り上げていただく機会も増えました。ただこんなふうに話していると、僕が「LIGブログ」を大きくしたように聞こえると思いますが、退職後にリニューアルをしてさらにぐんと上がったということも付け加えておきます(笑)。それと、オウンドメディアに関わる方がいたら、誌面の「100社に聞いた オウンドメディアの運用実態」というページがすごく勉強になるので見てみてください。現役プレーヤーとして参考にしたいです。

次ページ 「編集2.0のキーワードは“コミュニティ”!?」へ続く