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インサイトに迫る、クリエイターの洞察力—GLIDER 志伯健太郎氏

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第5号(2015年11月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。


なぜ、地域のブランドづくりはなかなかうまくいかないのでしょうか。その背景には、「ブランディング」に対するいくつかの誤解や幻想があります。時代が変わっても企業が永続していくための、新しくて、かつ実践的な、企業がほんとうに知りたかったブランディングメソッドを解説します。

人を巻き込む「仕掛けづくり」が求められている

仕事において、「移動」は欠かせない——これは、これまでクリエイターとして仕事をする中で常々感じてきたことです。かつて僕は逗子に住んでいたので、東京・南青山にあるこのオフィスにやって来るには少し時間がかかりました。また、GLIDER(グライダー)は、ここ東京のほかにイタリア・ミラノにもオフィスを構えており、かつ僕は今ミラノ在住なので、当然毎月のように両国を行き来しています。仕事をする上で、とにかく移動時間が長いわけですが、その時間は、道ゆく人や通り過ぎてゆく景色を眺めながら、思考を巡らせ、アイデアを発想する大事な時間。クリエイターとして核になるプロセスを、僕はこの移動中に踏んでいるような気がします。実際、アイデアの多くは、移動中に浮かびますね。

GLIDERは元々、従来型の広告・コミュニケーションに捉われないプロジェクトに取り組むためにつくったクリエイティブブティックですが、近年ますます、クリエイターだけで完結する仕事より、企業や団体、自治体、地域住民など、さまざまな人を巻き込みながら進める仕事が増えてきました。多くの人が関わるプロジェクトを形にしていくためには、その人たちにいかに自分ごととして捉えてもらい、積極的に参加してもらうか、そのための“仕掛け”が重要です。

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仙台市地下鉄東西線「WE」の開業プロジェクトのロゴ

いままさに進行中のプロジェクトで言うと、仙台市地下鉄東西線「WE」の開業プロジェクトは、そうした仕掛けが必要なケースの代表例として挙げられます。

2007年に着工し、2015年12月6日に開業する地下鉄を通じて、これからの仙台の街を仙台市民自らがつくっていく——これが、プロジェクトを通じて達成したい目標です。単なる地下鉄のブランディングに留まらない、仙台市民107万人を巻き込んだ“超市民参加型”プロジェクト。WEを仙台市民みんなのもの、仙台市民である自分のものと感じてもらい、地下鉄を軸に展開されるさまざまな活動に参加して、地下鉄はもちろん、仙台の街をもう一度好きになってもらえたらと考えています。WEが「人を運ぶ」だけでなく、「人と人」「人と街」をつなぐことができたら、市民にとってWEは、ただの地下鉄以上の大事な存在になるとも思いました。

次ページ 「“参加型”には仕掛けが必要」へ続く


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