『はねるのトびら』がゴールデン進出しても
スターにはなれなかった
西野:19歳でこの世界に入って、最初大阪でやっていて、20歳で『はねるのトびら』という番組がスタートしてレギュラーになったんですよ。深夜の東京ローカルでスタートして、とにかく『はねる』をゴールデンに上げることしか考えてなくて。それで僕は“回し”ですから、結構損な役回りだったんですよ。
一同:あぁ~。
西野:“回し”ってあまり得しないじゃないですか。真面目にしようぜっていう役割ですから。自分もふざけたいけど、ふざけちゃうとふざけた人がおいしくならないから。それこそ27時間テレビで、さんまさんが『はねる』に来られてゲームをするんですよ。裏の台本を全部言っちゃえば、僕はゲームの進行役で「真面目にゲームをしましょうよ」って言うんですけど、趣旨説明をしている途中でさんまさんが揚げ足をとって、壊して、笑わせて。
中村:なるほど。
西野:「さんまさん、ちゃんとやろう」と言って、もう1回真面目にゲームの趣旨説明をして、また、さんまさんが壊してというのを1時間やって、「結局ゲームできませんでしたね」っていう台本だったんですよ。
権八:はい、はい。
西野:それがうまくいって。でも、視聴者の方からフジテレビに抗議のメールがいっぱいきて、「キングコング西野はなんでそんなにゲームをしたいんだ」と。
一同:爆笑
西野:僕はゲームをしたいわけじゃないんですよ(笑)。お笑いがしたいんですよ。でも、なんで西野は芸人なのにゲームをしたがるんだと。お笑いをするために真面目にする奴がいないとお笑いにならないからみたいな、そういうストレスがずーっとあって。でも『はねる』がゴールデンに上がればスターになれるしいいかと我慢してやっていて。僕が25歳のときに権八さんとお仕事をご一緒させていただいて、そこから1、2年後だと思いますけど、『はねる』がゴールデンに上がって、視聴率も20%獲ったんですよ。
権八:面白かったもん。
西野:思い描いているところにいったけど、スターにはなってないぞと思って。確かに売れたは売れたけど、上にはナイナイさんもダウンタウンさんもいますし、さんまさん、たけしさん、タモリさんもいらっしゃいますし、順番が何も入れ替わってないなと。ちょっと待てよ、ここでスターになってなかったら、もうなれないじゃんと思ったんですよ。
澤本:西野さん的なスターというのは順番が入れ替わってほしかったってこと?
西野:はい。時代の渦のど真ん中にいるみたいな。
権八:時代の寵児だと。
西野:売れてなかったら言い訳できるじゃないですか。打席に立たせてもらったら自分だってホームラン打てるぞって。でも、僕は売れていたし、打席にも立たせてもらっていますし、バットも握らせてもらって真ん中で打たせてもらって。追い風ブンブン吹いてるし、この状態でホームランを打ってないということは打てない奴じゃんと。そのときに30、40、50歳の自分の姿を何となく想像しちゃって、たぶんこの通り行くんやろなと思ったんですよ。
澤本:なるほど。
西野:何となく右肩下がりの感じで。30歳でこれぐらいの芸人さん、40歳でこれと思ったら、嫌だと。僕はタモリさんが大好きですけど、一生タモリさんの下は絶対に嫌だと思って。
澤本:はは、すごいな!
西野:絶対に競争相手だし、抜かなければいけないと思って。でも、瞬間最大風速吹いていた状態で抜く見込みがないから、この方法じゃないと。それで、25歳の終わりぐらいのときにひな壇を辞めたんです。ひな壇、グルメ番組、クイズ番組にゲストで出ていく、そういう一切のお仕事を一回辞めるって決めたのが25歳ぐらい。
澤本:僕たちが思っている、お笑いの方々の仕事の9割方がそうだよね。
西野:そうなんですよ。辞めたら、本当に仕事がないんですね(笑)。『はねる』はゴールデンでずっとやっていたんですけど、週5ぐらいで休みになって、どうしようかなと思って、そこからですね。色々考えないといけないと思ったのは。そのときにタモリさんに呼び出されて、「お前、絵を描け」みたいなことを急に言われたんです。
澤本:タモリさんは、西野さんは絵が上手だと知ってらっしゃったんですか?
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