コラム

戦略PR視点で、大学・地方・アートを考える

【特別講義】先生!「企画」と「アート」、乗り越えられない壁があるって本当ですか?

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「それやりすぎじゃない?」って思うこだわりが意外と大事

はいね:片岡さんとの仕事を省みると、いわゆる「クリエイティブのパーツ」は完全プロにお任せ、というスタイルが多いですよね?大きく意図とずれない限り、途中で口を出すこともしない。

片岡:まだこの仕事を始めて間もないころ、ドラマのポスターを作る機会があって、主人公は若い獣医でした。「沢山の犬たち(人間関係も)に振り回されて大変な目に合う」というコミカルなストーリーだった。僕は宣伝広報分野の担当だったけど、アートディレクターの方が考えたビジュアル案が秀逸で、主役の獣医役の俳優さんが白衣をきて、本物の犬が何匹もぐるぐる彼を取り囲んで、その犬の首ひもが役者さんをぐるぐる巻きにしちゃうの。それもCGでなく実写で。

はいね:面白い!

片岡:僕もすごく面白いと思った。だけど、制作費の見積もり見たら、犬の首ひもが革製の最高級品で1本何万円もした(笑)何十本か必要だったから正直、その時は、納得できなくて、そのアートディレクターの方に、子どもみたいに“プリプリ”しちゃったんだ(笑)

はいね:いや、でも私でもそれやりすぎじゃない?って思うかも(苦笑)

片岡:ところが、ポスターが完成すると、それがすごくよい作品で、15年たった今でも人に自慢するくらい(笑)その時以来、僕はあまりクリエイティブには口出さなくなった。

そのクリエイターの方と、私というクリエイターとは、こだわりのパートがきっと違うものなんだろうと思って、以来、自分が最終決定しない立場の時は一線を引いたりもしたんだけど、でも最近になって、あの首ひもの持つ意味と果たした役割が分かってきた。すごく長くなるからここでは細かく言わないけど、役者以外で「首ひも」は最重要の被写体だったし、ドラマの世界観の「象徴」が、あの「首ひも」だった。だから安っぽいプラスティックや布製ではダメだったんだと思う、きっと。

はいね:なるほど。ポスターっていう「作品」を作るだけならそこはこだわり抜いていいとこかもしれないけれど、あっさり「ここもう少し安いの使ってよくない?その分の予算をここに…」って言いたくなる気持ちは分かります。

片岡:でも、はいねさんにも、そういう意味での「こだわり」は間違いなくあると思うよ。「面倒くさい人だな〜」と思ったこと、僕、何度もあるから(笑)

はいね:その何倍も、私が我慢してきたこともありますけど(笑)

(後編に続く)

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