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訪日メディアMATCHAの「やさしい日本語」版はいかに生まれたか?

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複数の課題同時に解決する「ありそうでなかった」サービス

加藤:桑原さんは、このサービスのどういった点に魅力を感じたのですか?

桑原:ツイッターでMATCHA『やさしい日本語版』が紹介されていて、早速そのサイトの言語欄を調べたら、中国語や韓国語の横に、『やさしい日本語』という欄があるんです。言語選択の欄に、普段よく目にする言語ではないものがあることに、まず驚きました。
ありそうでなかったようなことだなって思って。外国人に日本のことを知ってもらいたいという強い思いからできたコミュニケーションだなと感じました。

加藤:MATCHA『やさしい日本語版』は、一度に複数の課題解決に貢献していると「広告業界の若手が選ぶ、コミュニケーション大賞」の審査員は考えています。まず、これまで画一的だったとも言える日本語学習の課題を解決しながら、それと同時に日本への興味、関心を広げる訪日外国人に対しての課題も解決している点です。そして、短期的な訪日促進だけでなく、中長期的な視点でもインバウンドの持つ課題解決に貢献していると思います。昨年、爆買いのブームが終わったと言われるなかで、それを一過性のものにせずに、継続的な訪日促進につなげていける可能性のあるサービスだということです。

「広告界の若手が選ぶコミュニケーション大賞」は第4回の作品を募集中。締切は10月31日。

「相手に情報を発信するために、相手の立場で伝えていく」のは情報発信の基本

賞の審査員の加藤慶さん(右)

桑原:『やさしい日本語』自体がコミュニケーションツールとしてすごいな、と思っていましたが、同時に「相手に情報を発信するために、相手の立場で伝えていく」というMATCHAさんの象徴になっているように感じます。

青木:それはMATCHAのスタンスですね。

加藤:情報を発信する上でも本当に大切なところですよね。一方的に発信するんじゃなくて、きちんと相手が興味のある文脈を通じて当てていくというか。そういう見方で情報を発信しないと伝わらないし、そこは広告ビジネスとの共通点だと思います。

話が少し広がりますが、青木さんがコミュニケーションをする上で、大切にされている点はありますか?

青木:そうですね。相手のことを考えることだと思っています。それがない限り、一方的にこっち側で「これいいよね」って伝えても、向こうからしたら「いや、これいらないよ」と言われてしまいます。

一歩ちゃんと歩み寄って何が欲しいんだろうとか、何を求めていて何が好きなのか、そこをしっかり把握することが大事だと思います。“丁寧にボールを渡す”というところが、コミュニケーションする上で大切だと思っています。

特に海外とコミュニケーションしていく上では、日本人が正しいと思ったことをそのまま発信すれば、伝わるんじゃないかって思う人が多いんですね。
でも、実際はそんなことはないんです。たとえば納豆が嫌いな人に、「納豆美味しいですよ! 日本人はみんな好きです!」と無理に押しつけてもいい結果を生まないですよね。

今、相手が何を求めていて、何に困っていて、また自分たちが提供するものが他とどう違うのか。相手の文脈を考えながら、コミュニケーションをすることがとても大事だと思っています。

加藤:「丁寧にボールを渡す」というキーワードが印象に残りました。相手のことを考え抜いた伝え方が大切だということですよね。まさに、MATCHA『やさしい日本語』で体現していますね。
最後に今後の目標についてお聞かせください。

青木:今の僕たちはまだメディアの領域に特化していると思っているので、次はリアルの場で人を動かす事業をやりたいですね。先ほどご紹介した、「やさしい日本語ツーリズム」の事業のように。

加藤:WEBメディアとしてのサービスと、リアルの現場がうまくつながってこそ、ユーザーにとって本当に使いやすくて、役に立つサービスになっていきますよね。情報を発信して人を動かすためには、「相手の文脈で伝える」ことが重要だというお話がありましたが、それに加えて、「リアルの場での肌感覚を大切にする」ということも必要だと感じました。この視点が青木さんの目利き力の源なのかもしれません。

取材終了後、賞のトロフィーと共に。

青木優

1989年東京生まれ。明治大学国際日本学部卒。 MATCHA 代表取締役。学生時代に世界一周の旅をし、2012年ドーハ国際ブックフェアーに従事する。デジタルエージェンシー agument5 inc.に勤めた後、独立。2014年2月より訪日外国人向け WEB メディア「MATCHA」の運営を開始。「MATCHA」は現在9言語、世界206カ国からアクセスがあり、様々な企業や県、自治体と連携し海外への情報発信を行っている。

 

桑原佑介

2015年株式会社朝日広告社に入社。テレビ局、ラジオ局と向き合うメディア部門に配属。全国のテレビ局を担当しながら、複数業種のクライアントも担当している。年齢の数=訪問国数を目指し、海外旅行に没頭。現在24歳=24か国を達成中。第三回広告会社の若手が選ぶコミュニケーション大賞でMATCHAの「やさしい日本語」を推薦し、同企画が大賞を受賞。

 

加藤慶

2011年、朝日広告社に入社。プランニング部門に6年間所属し、BtoB・新聞・⾷品・教育・家電・人材サービス・官公庁クライアント等、幅広い業種でマーケティング戦略の立案、メディアプランニングを担当。課題発⾒からブランディング、メディアプランニング、効果測定まで、⼀貫した戦略⽴案を行っている。2016年より「広告業界の若手が選ぶ、コミュニケーション大賞」の審査員として活動中。