【前回のコラム】「今、勉強をともにできる仲間はまわりにいますか?」はこちら
広告は、基本、無視されるもの。
広告費は少なくなる一方。CMの効果には疑いの目が投げられ、新聞広告をやる機会など年に1〜2度あればいいほうだ。
広告にまつわる職種はどんどんと細分化され、「コミュニケーション」のプロフェッショナルを名乗る人があちこちに出現する。
じゃあなんで、あなたはコピーライターを目指すんだろうか?
じゃあなんで、わたしはコピーライターを続けるんだろうか?
「これしかない」と思って、わたしはこの仕事を始めたわけではありません。
それでも気づけばもう15年ほど、コピーライターという仕事を続けている。
眉間の皺はなるべく脇に追いやり、「大人」の自分をなんとか搾り出しながら、物事に立ち向かっている。おそらくこの先も、この仕事を辞めることはないと思います。
なんでか?
わたしがこの仕事にしがみつく理由は、とても単純です。
この仕事をしていると、たまに、ぞくぞくっとふるえる瞬間がやってくる。
コピーのタネを見つけた瞬間、「ア」という声にもならない声とともに、そのふるえを感じるのです。
何度も何度も考えて、何度も何度も考え直して、ようやくたどり着いたその場所は、だけど自信なんてものはちっともなくて、心許ない。おぼつかない。見通しは悪い。頼るものは自分しかいないという、怖さ。
本当にこの道でいいのかもわからない、予測不可能の危なっかしさ。
けれど、見つけ出してしまったものが与えてくれる快感。
すべての問題の解決を、いま見つけ出したこの言葉が持っているのかもしれないと、そう思える快感。
このとき感じる気持ち良さは、たぶんどんなものでも代えはきかない。
あのぞくぞくを、もう一度手にしたい。
毎回毎回、そんな感じでコピーを書いています。
クライアントが懸命に作り出したものを、いかにアピールするか。
どちらが上でも下でもなく、タイマン勝負の世界です。
「なんかいい感じの言葉」で武装しても、すぐに斬られます。殺られます。
しんどくて、しんどくて、しんどくて、でもごくたまに楽しい気持ちいいって思えるのが、この、コピーの世界だと思います。
単なる言葉遊びだけがしたいという人や、広告って派手でかっこよさそうだからという理由だけの人は、たぶん向いていません。他の仕事をお勧めします
(たいして派手でもかっこよくもない仕事だ、ということもあるけれど)。
いえ、入り口はそれでもいいんです。
だけど、「その先に待っているであろう“おそれ”まで請け負う」、その気持ちがないと、なかなか進むことは難しいと思います。
しんどくても辛くても怖くてもいいや。とにかく、挑んでみたい。
そう思う人の中で、「でも、やりかたがよくわからない」、そのように悩んでいる人はぜひこのコースを受けてみてください。
授業を受け持つ私たちは、それぞれの場所でもがいている4人です。
もがいたなりの、今時点での答えを持っている4人です。
あなたよりも、少しだけ前を歩いていると思います。
だからこそ、伝えられることがあります。
真剣に向かってきてもらえたら、たくさんのことをお返しできると思います。
この春。「あなたとの出会い(仮)」を、楽しみにしています。
岩崎亜矢
サン・アド コピーライター
京都経由の町田育ち。渋谷テレビジョン、岩崎俊一事務所、パラドックス・クリエイティブなどを経て、2008年サン・アド入社。主なコピーに、JINS「私は、軽い女です/軽い男です」「人生なんて、顔で変わる」、村田製作所「恋のドキドキだって、いつか、電気をおこすだろう」、サントリーウーロン茶「30才、すすめ」、ホワイト・ザ・スーツ・カンパニー「よくはたらくふく」、オンワードanySiS「わたしをふやそう」、ハンバートハンバート「生きてるからさ、恥ずかしいことばっかだよ」など。シティポップユニット「檸檬」の作詞や、「僕はウォーホル」「僕はダリ」(パイインターナショナル)など翻訳本の監訳も手がけている。京都精華大学非常勤講師。
岩崎さんが講師を務める、コピーライター養成講座先輩コースが3月25日(土)より開講します。くわしくはこちらから。
「コピーライター養成講座」
講師は一流のコピーライターが直接指導 プロを育てる実践型カリキュラム
いまでも多くの有名クリエイターを輩出している本講座。幾度かの改変を経て、内容を一新。コピーやCMといった、広告クリエイティブだけでなく、インタラクティブ領域のコミュニケーション、マーケティングやメディアクリエイティブなど、さまざまな視点からコミュニケーションを構築する能力を養い、次世代のクリエイターを育てます。
>詳細はこちら
「コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常」バックナンバー
- 広告制作の実績・経験が得られる講座-コピーライター養成講座卒業制作が天神地下街で掲出中!(2023/5/26)
- コピーライター養成講座の受講生が制作に参加したシェアサイクル車体広告が名古屋で登場(2023/4/18)
- 20年前に「コピーライター養成講座」で共に学んだ3人が今思うこと(2022/8/09)
- 勝手に作った1枚のポスターから、クリエイティブキャリアが始まった【後編】(2021/7/08)
- 勝手に作った1枚のポスターから、クリエイティブキャリアが始まった【前編】(2021/7/07)
- アートディレクターがコピーを学んだ理由(2021/3/31)
- ことばで伝える仕事に惹かれて。(2021/3/30)
- 後悔しないためのコピーライター養成講座の通い方(2020/12/14)
新着CM
-
お知らせ
「宣伝会議賞」中高生部門 新しい学校のリーダーズ賞決定!
-
クリエイティブ
ラスベガスの球体サイネージSphereにIBM出稿、生成AIで「信頼」表現
-
販売促進
ミンティア、コンセプト「息にドレス」を体現したファッションショーを開催
-
AD
広報
東京都「伝わる広報大賞」受賞作が決定 都民一人ひとりに届ける広報活動を活性化
-
販売促進
カラオケもMRI検査もタダ、「chocoZAP」来店を習慣にする戦略、RIZAP
-
クリエイティブ (コラム)
「噓つきは、戦争の始まり。」 宝島社が広告で問いかけた「平和」とは
-
マーケティング
「データに強いマーケターになるにはどうしたらいい?」 小さな成功の積み重ねで、目...
-
販売促進
容器がもたらすベネフィットをCMで 少容量の飲用シーンに着目
-
AD
特集
OOHと生活者の交差点を考える