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コラム

椎木里佳の「JCJKの生態と欲望」研究所

ニッポン放送よっぴーが聞く「椎木さん、ネットしかない世界ってちょっと寂しくないですか?」

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静岡放送で毎週土曜日の20:00から30分間放送している、椎木さんがパーソナリティーを務める「#椎木里佳パイセンの放課後ラジオ」。
ラジオと連動して行っているアドタイでの連載ですが、第一回コラム「いまなぜ女子高生がラジオにハマる?大人のなかの“オワコン”にこそ勝機あり」を読んだニッポン放送アナウンサーのよっぴーこと吉田尚記さんと椎木さんの対談が実現。その後編をお届けします。

デジタルネイティブ世代でも、ネットで課金はハードルが高い

吉田尚記(以下吉田):僕、ラジオ業界にいながらradikoのプレミアムサービスを自腹で使ってるんだけど、他のアプリと比較しても、350円で使えるコンテンツサービスの中では、圧倒的に優勢なものの1つだと思うんだよね。だって静岡の情報なんて、普通東京にいたら手に入らないじゃん。

そういうことを伝えるだけで、350円以上の価値が出ると思うんだよね。

椎木里佳(以下椎木):そうですね。でも一方で、周りの子たちを見ていて最近感じるのは、リアルなものにしかお金を払わないってことなんですよね。

例えばジュースに300円払うのと、ネットで課金するのに月300円払うのは全然違う感覚で、意外にもネットのほうが圧倒的にハードルが高いです。ゲーマーじゃない限り、普通の女の子が何かに課金するってない。

例えばAWA(音楽ストリーミングサービス)って960円じゃないですか。音楽好きな友人に聞いても、絶対入らないって周りは言いますね。「CD買ったら3000円するけど、どっちがいいの?」って聞くと、「CDの方がよくない?だって実際に手に入るし」って。

「え!どーしたの、そんなデジタルネイティブの子が!」って。そこがすごく不思議なんです。

吉田:最近、ブロガーのいしたにまさきさんとちょうどそのことを話してたんです。

この数十年のネットの歴史でわかったのは、日本人は物にしかお金を払わないこと。“この時間を楽しませたからこのくらいお金払ってね”っていうのは、基本的にうまくいかないんです。

お金を払わせることと、サービスで楽しませるという時間は、必ずしもリンクしていない。例えば今、星野源のラジオは無料で聞けるけど、このラジオを聴くために突然「毎月500円払ってね」ってなったら、いくら好きでもなかなか成立しないよね。それなのに、コンサートのチケットが1万円でも払う。さらに言うと、グッズを1万円買って帰ったりもする。

椎木:それ、すっごくわかります。

デジタルネイティブだとか世代とか関係なく、日本人の特徴なのかもしれないですね。

吉田:無料で情報をやりとりできる場所って、今後もなくならないと思ってるし、なくなるといろんな人が困るはず。ラジオはそういう場にしておかないといけないから、民放であることは正しいと思う。でも、今どんどん企業がラジオ広告から撤退していっているから、この先の費用対効果が計算しづらいんです。

だからこそ、残り続ける企業は得すると思ってて。もしスポンサーさんの中で広告媒体の中からラジオ広告を撤退としている企業は、大きなパイを将来に渡って失いつつあるって、僕はそう思うんです。

その人達の発想ってきっと「ラジオって10年後にどうせなくなるでしょ」なんだよね。でも、なくなんないもん。こんなに現場にコストがかからないメディアって他にないから。極論、しゃべる人がそこにいれば成り立つんだよね。ポジショントークかもしれないけど、ラジオがなくなると思ってメディアに対する向き合い方をしている人は危険かもしれない。一回関係性を切っちゃうと、そこからまた新たに築き上げるのも大変だし。

次ページ 「根底にコミュニケーションが成り立っている最古のSNS」へ続く