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コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

何気ない一言が、誰かの人生を左右する。

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[寄稿者一覧はこちら]

【前回のコラム】「私たちクリエイターは今、世の中に何を投げかけられるのだろう。」はこちら

宣伝会議賞の贈賞式、皆さん素敵な恰好でいらっしゃいますよね。その中に一人、耳にエビフライをぶら下げていた女をご存知でしょうか。第54回宣伝会議賞にてグランプリを獲得した、平山瑞帆という社会人5年目のコピーライターです。私です。皆様、はじめまして。

夢のようなあの夜から一転、シンデレラガールになれるかと思いきや平凡な日常が再開し、家族からは「いつまで過去の栄光を引きずっているんだ」「次行け、次」と口々に言われ、世知辛さを噛み締めています。

ありがたいことに「自由にどうぞ」とAdverTimesでのコラムのお話を頂戴したので、次へ向かうための決意表明や皆様へのご相談に、この場をお借りしたいと思います。まずは少し、昔話にお付き合いください。

広告への興味を持ったのは、大学3年生の頃。

山崎隆明さんや秋山具義さんといった第一線で活躍する方々を講師に迎える、贅沢すぎるコピーの講義を受けてのことでした。あらゆる角度から広告の魅力を知ってしまった私は、就職活動を目前に控えていたこともあって広告業界に強い憧れを抱き、何とか足がかりを掴もうと「学生CMコンクール」に挑戦。が、入賞はせず。

「まあそう上手くはいかんよな…」と肩を落としたところにお誘いがかかったのです。それはコンクールを通して選ばれた学生数十名で「ACC CMフェスティバル」の審査をやってみようという企画でした。漠然とした夢を決意に変えたのは、そこで出会ったクリエイターの言葉でした。

広告って誰のもの?

楽しすぎる審査の後、締めの挨拶として何気なく使われたひとことに、妙な引っ掛かりを覚えたのです。

「これからも、皆さんが憧れるようなCMをつくっていきたいと思います」

別に変なところなんてないですよね。恐らく今の私が聞いても何も感じなかったと思います。でも、広告業界を志望する、思春期より多感な就活期の私は思いました。

「CMってあなただけのものなの?」「仮にもコンクールに応募するような学生たちなのだから、一緒に頑張りましょうと言ってくれてもいいのに。まるで隣に並ぶチャンスなんてないみたい…」

イヤ~!こういう人間が広告にいちゃもんつけて炎上させたりするんでしょうね。ひがみに、妬み。書き起こして思ったんですが、歪曲がすごい。しかしこれをきっかけに、「いつか絶対、誰にも負けないような人を動かす広告を!」という決意が芽生えたのも事実なので、恥ずかしながら当時の想いを告白してみました。コピーライター養成講座の門をくぐったのは、この後のこと。

ところで元クリエイターの教授が、自身の広告実績を見せる際には「作品集」ではなく「仕事集」という言葉を使いなさい、と頑なに言い続けていました。

芸術学部に身を置く私たちにこそ「作品」と「仕事」の違いをきちんと教えたかったのでしょう。つい暴走しそうになったとき、恩師の言葉を思い出し、「この広告は誰のためのもの?」と自身に問いかけると、ちょっぴり冷静になれるのです。

平山瑞帆(ひらやま みずほ)

2013年 インサイト・ディレクション入社。日本大学芸術学部 文芸学科を卒業後、コピーライターとして不動産広告の企画からライティングまで幅広く担当。コピーライター養成講座 基礎コース、コピーライター養成講座 ボディコピー特訓コース修了。第54回宣伝会議賞 グランプリ受賞。趣味は、粘土での食品サンプル制作。

 


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