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田植え・稲刈り体験つきの米販売で、働き盛りの10人超が“跡取り”候補に

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日本全国、高齢化、そして後継者問題に悩む農家は多い。農林水産省の「農業構造動態調査」によれば、日本の農家の平均年齢は67歳で、29歳以下の農家は3%に満たない。群馬県桐生市黒保根も、そんな課題を抱える稲作地帯の一つ。「西の西陣、東の桐生」と言われ、絹織物で知られる街だが、清冽な水と昼夜の寒暖差によって良質な米が収穫される地域でもある。

農家が抱える問題を解決したい──その思いの下、黒保根で米農家を営み、「黒保根おいしいお米をつくる会」会長を務める遠藤初夫氏と、同市でビジネス支援を行うNPO法人キッズバレイ、そして電通の中川諒氏(プランナー/コピーライター)・河瀬太樹氏(アートディレクター)が共同開発した新商品が「あととりむすこ」。黒保根産の米が、「募集 あととりむすこ」「この味を、超えてほしい。」などと印字された袋に入れられており、購入者は黒保根での田植え・稲刈りに参加することができる。つまり、「体験つきの米」だ。

「業務内容 田植え、稲刈りの農業体験」「資格 農業に興味を持ってくれる若者」など、求人広告のような記載が特徴的。

商品コンセプトは、「農家の一番の広告は、つくった美味しい作物である。」。4月1日から恵比寿と二子玉川、そして桐生市で直販売会を実施し、1キロ800円、計450キログラムが1カ月ほどで売り切れた。現在は、東京・銀座にある群馬県のアンテナショップ「ぐんまちゃん家」で販売されている。

「口に運んだ美味しいお米が、誰の手によって、どのようにつくられているのかを知ることは、食の体験としても面白いのではないかと考えました。企画を始める前、インタビューのために参加した小学生向けの農業体験で、子どもたちが口々に『農家になりたい!』と言い始めたのを見て、お米と農業体験をセット販売することを思いつきました」(中川氏・河瀬氏)

電通での業務を通じて培った広告的発想・PR発想を、プロダクト開発に生かす活動を進めている2人。「あととりむすこ」は、周囲の先輩・後輩の協力も得ながら、休日を使って取り組んでいるプロジェクトだという。

5月27日に行われた田植え体験には、地元学生を含む140人が参加した。そのうち20~40代の“あととり候補”は10人を超え、悪天候の中、東京から150キロメートル離れた田んぼへ足を運んだ。「将来は自然と関わる仕事を希望しており参加したが、農業への興味が高まった」(41歳、会社員男性)と、就農への意欲を高める人も多かったという。稲刈り体験は、9月23日を予定している。

中心となってプロジェクトを進めた、遠藤初夫氏。「あととりむすこ」は、遠藤氏の水田1区画のオーナーとしてキッズバレイが買い取った米を活用した。

「パッケージを変えただけで、Web・新聞・ラジオなど多くのメディアに取材いただき、農家の後継者問題という、『突発的ではないために、なかなかニューストピックスにならない課題』に焦点を当てることができたと思います。もちろん、瞬間風速的に解決できる問題ではありません。今後は、“あととり候補”を集めるだけでなく、集まった候補者をサポートする仕組みを地元NPOとともに強化していくことで、サステナブルな取り組みにしたいと考えています」

スタッフリスト

CD+C
中川諒
CD+AD
河瀬太樹
PR
梅田悟司、高橋慧至
アドバイザー
矢野健太

ecd:エグゼクティブクリエイティブディレクター/cd:クリエイティブディレクター/ad:アートディレクター/企画:プランナー/c:コピーライター/d:デザイナー/演出:ディレクター/td:テクニカルディレクター/flash:flash制作/me:マークアップ・エンジニア/pgr:プログラマー/epr:エグゼクティブプロデューサー/pr:プロデューサー/pm:プロダクションマネージャー/ap:アカウントプランナー/ma:録音/st:スタイリスト/hm:ヘアメイク/crd:コーディネーター/i:イラストレーター/cas:キャスティング/ae:アカウントエグゼクティブ(営業)/na:ナレーター