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「パナソニック宣伝100年の軌跡」(4)日常をドラマチックに切り取る — 家事の広告篇

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企業からのメッセージを生活者目線へと切り替える

美堂恒男(クリエイティブディレクター、プランナー)
1972年、電通に入社。掃除機をはじめパナソニックの商品の広告に、30年以上携わった。関西支社SCDを経て、2008年に退職。IBA、ACC、ADC、クリオ、TCC賞などを受賞している

美堂:三田さんがパナソニックのCMに出演され始めた当時はバブル全盛期。技術革新もされ、新しい商品の広告は、面白く自由に表現できました。その後、バブル景気の直後につくったのが、三田さんが暮らしの知恵を紹介する「目指せプロのママ」シリーズ。これもブランディングが目的でした。企業からのメッセージを伝えるだけではなく、例えばコンタクトレンズを落としたら掃除機のノズルにストッキングをつけて吸い取れば見つかる、といった生活者の視点からプラスになることを伝えています。パナソニックは、長年ラジオ番組で生活や季節の情報を提供していて、生活者の視点を大切にする伝統があります。「プロのママ」シリーズはその原点に戻ったとも言えます。

三田:CMの内容は時代に直結するんですよね。今どういうものが要求され、また飽きられてしまっているか。その条件に合わせてつくられていますね。

美堂:パナソニックは生活に近い商品をつくっているからこそ、常に社会に目を向けていかなければならないのだと思います。技術者が思いを込めてつくった個々の商品を、宣伝部門の方は、生活者に目線を変えて、表現していくプロでした。

—ほかにはないパナソニック流の宣伝とは、何だと思いますか。

04. 1993年 新聞 キャニスター

美堂:いいものをつくるためなら、どんどん変えていっていい。それがパナソニックの考え方だと思います。撮影現場で、三田さんの表情はこっちがいい、オチはあちらにしよう、といった具合に、当初の企画から変わっても、いいものを採用していただけました。それだけ自由度、やりがいがあったということです。

三田:新しい表現に挑戦していく自由度は、時代の勢いもありましたよね。撮影で求められたのは、テンポと明るさ。当時のCMを今見返しても、いい明るさです。

美堂:当時のパナソニックの宣伝部門には、面白いことをやろうという雰囲気があふれていました。とりわけ制作には個性的な方がいらっしゃって、多彩な企画が生まれましたね。

—創業100周年を迎えるパナソニックは、家電にとどまらず、住宅や街へ取り組みを広げています。今後、パナソニックに対して期待することは何でしょうか。

美堂:商品の魅力はもちろん、人の生活、感性をもっと掘り下げて、表現の可能性を探ってほしいですね。先鋭的な広告を期待しています。それは家電だけでなく、街や企業広告といったフィールドでも、同じことが言えると思います。

三田:時代は超高齢社会に突入しましたが、元気な高齢者がパナソニックの最新の商品にどう興味を持ち、使いこなすのかは気になるところです。世界中には、前向きに生きようとするパワフルで尊敬できる、おしゃれな高齢者がたくさんいます。広告を通じてその元気を発信していくことで、世の中が明るくなるのではないでしょうか。そうした世界を表現者として演じてみたいですね。

くらしの課題解決を続けた100年

1962年 新聞
「誇り高き メイド イン ジャパン」

パナソニックは創業から生活家電で「日常生活のお困りごと」を解決してきました。1927年に発売した「スーパーアイロン」はアイロンがまだ高級品であった当時、リーズナブルな価格で広く普及しました。洗濯機や掃除機は、家事の主役であった女性の手間を大幅に減らし、社会進出を後押ししました。また、地球温暖化が社会的に課題となり、各家庭でもエコへの意識が高まったときには、家電自身が電力消費をコントロールする「エコナビ」で、がんばり過ぎないエコを実現しました。創業から間もなく100年を迎える今、海外でも各国の事情に沿った、くらしのお困りごとの解決を目指しています。また、そのマインドは、BtoBでも「ソリューション(解決)」で息づいています。くらしの課題解決のために進化を続けてきたパナソニックの家事家電。100年を迎えた先も、お困りごとがあるかぎり、進化を続けます。

家事宣伝年表

編集協力:パナソニック株式会社


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