コラム

小霜和也の「迷えるデジタルシフト難民のお悩み相談室」

デジタルシフト相談室「クリエイターの皆さんのお悩みに答えます」編

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【前回の記事】「デジタルシフト相談室「総合系エージェンシーの皆さんのお悩みに答えます」編」はこちら

小霜和也著「急いでデジタルクリエイティブの本当の話をします。」(7月1日発売/宣伝会議)
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新刊『急いでデジタルクリエイティブの本当の話をします。』の発売を記念して、著者の小霜和也氏が、現場でデジタルシフトに取り組む皆さんからの悩みに答える連載の第4回。今回は、クリエイターの皆さんからのお悩みに答えます。

先日行われた出版記念セミナー「若者よ、デジタルで成り上がろうぜ!」は、おかげさまで盛況のうちに終了しました。週末にもかかわらず多くの方にご来場いただき、ありがとうございました。

内容を少しだけ紹介すると、「今後、目指すべきクリエイティブ職」について小霜さんがまずプレゼン。コピーライターやCMプランナー、アートディレクターなどのクリエイティブ職とデジタル広告クリエイターの将来性を比較しつつ、いま目指すべきは「デジタル広告クリエイター」という話をいただきました。

「デジタル広告クリエイター」とは、(ものすごく短く説明すると)マスとWeb両方の特性や文脈を理解した上で広告クリエイティブができる人のことです。その後、デジタル広告に精通するzonariの有園雄一さんと対談を行いました。

今日1つ目の質問は、このセミナーに参加してくれた方からです。

Q:小霜さん、こんにちは。先日の出版記念セミナーを聞き、デジタル広告クリエイターになろうとしている、紙媒体の経験しか無い33歳のコピーライターです。

デジタル広告で成り上がる(笑)には、まず、運用者のいる会社に転職して、それから、担当していなかった分野の制作を始めるべきだと思いました(他の媒体の制作経験を積んでからでは遅すぎる気がしています)。紙以外の媒体の制作を学んでからでは、いつまでたっても成り上がれないと感じたので…。小霜さんの意見をお聞かせください。よろしくお願いいたします。

 

 

小霜:セミナーに一緒に登壇してくれた有園さんが、セミナー前の打ち合わせで「若い人は1年ぐらい実際に運用を経験してみるといい」と言っていました(確か壇上では言い忘れてたような)。

大手出版社に入社すると、最初は書店で販売員の研修をしたりしますよね。昔はエージェンシーでもファーストフードの担当になると1ヶ月ぐらい、お店で店員をやったものなんですよ。それと同様に、運用という現場感覚を掴むとクリエイティブを立体的に見られるようになるだろうということです。新人ホヤホヤなら十分あり得る話と僕も思います。33歳でも遅くないのでは。僕の意見をということでしたが、有園さんの意見を拝借しました。すみません。

Q:総合のエージェンシーでプランナーをしています。 職種として狙い目である「デジタルクリエイター」を目指すことで、 仕事の幅や、世の中へのインパクトが狭まらないかが心配です。 

 

小霜:逆です。全く逆。デジタル「シフト」という言葉がいろいろ誤解を生んでいるのではと僕は感じてるのですが、デジタルシフトとはマスをやめてWebをやろうということではないです。

多くの方は「デジタル=Web」と思っています。まずそこが間違い。「デジタル=マス✕Web」です。僕の言う「デジタル広告クリエイター」は「Web広告クリエイター」ではありません。もしそうならWeb広告という枠に囚われて活動領域も狭くなるでしょう。

今活躍しているアートディレクター達の多くは、グラフィック広告がテレビCMシフトした時、グラフィックの枠に閉じこもらずテレビCMやWebまで手がけた人たちです。そのように、仕事の幅を広げようと言っているのです。世の中のインパクトが狭まらないか、という考え方もおかしい。世の中のインパクトが必要な商品ならマスも絡めて世の中にインパクトとともに伝わるようにしようと考えるべきなんです。

昔は「コピーライターとアートディレクター」の組み合わせで互いを成長させてきたが、これからはそれが「デジタル広告クリエイターと運用者」になる、というお話も出ていましたね。デジタルのクリエイティブには運用の目線が欠かせない、というのがトークショーの一貫したメッセージになっていました。

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