日本で「集中」と言われているものは「力み」である
権八:例えば今日のカンヌじゃないけど、やれ賞がとれたとれないと、他人からの評価は気になるものですが、そんなことよりも自分がやれることをやるという、そこの集中しかないわけですよね。ただ、仕事しよう、集中しなきゃ、と思えば思うほど、じゃその前にちょっとだけエロサイトでも見ようかなと(笑)。
中村:邪念がね(笑)。
権八:村田さんはそんなエッチなことを考えたりしないんですか?てこれなんの話(笑)。
村田:この前の試合に母校の先輩が応援に来てくれてたんですけど、控室から降りていく階段に先輩が1人で立ってるんです。「先輩、応援ありがとうございます」とグローブタッチしたんですが、歩いてる途中に考えると、「あそこは立ち入り禁止だよな。よく入ってきたな」と。何の悪気もなくそういうことをしちゃうタイプの人なんですね。
だから、頑張ろうとしてるときにエロを見てしまうじゃありませんが、そういう余裕みたいなものは必要なんじゃないですかね。集中、集中となると違って。たとえば、僕は目のトレーニングをするんですけど。
中村:それは動体視力ですか?
村田:動体視力も含めた眼球動作ですね。それでよく言われるのは、「集中」と「力み」は違うということ。今の日本で言われる「集中」は「力み」だと思うんです。中村さん、ちょっとここをしっかり見てください。それでこっちからパンチが来るとわからないですよね?
中村:目の前の一点を見ていて、左から拳が来るとわからないですね。
権八:今、洋基くんの目の前に指を1本出して、視界の外からパンチを入れました。
村田:それが集中と力みの差で、「集中しなさい」と言われてここを見ると、集中してるようで力みなんですね。
澤本:そこしか見えなくなると。
村田:集中というのはまわりが見えている状態で、力みはよしやってやるぞという状態。ボクシングの世界だと、外からくるパンチは見えません。力みの状態で良いパフォーマンスができるかというと、スポーツの世界はそうじゃなくて。
でも、世間もそうなのかなと。よく言う「ゾーン」は集中とリラックスの良いバランスのことです。どの世界でも、「集中、集中」と考えているときは集中じゃなくて、ただの力みです。集中という言葉のあいまいさがあって、日本で考えられている集中は集中じゃなくて、力みだなと。
澤本:面白い。力みに近い集中をしてしまうと、自分がもってる100%の力は出せないと。
村田:出せません。だから、さっき権八さんがおっしゃったように仕事中にエロい動画を見ちゃうと。それはある意味では集中できてるということです。
中村:よくモノが見えてると(笑)。
村田:そうです。
権八:そうか、ありがとうございます。まさか肯定していただけるとは(笑)。日本の集中は力みという話がありましたが、他に日本社会で気になることはありませんか?
村田:あります。このままで良いのかなと思います。特に政治のやり方が非常に安易な方法で民意を集める方法が流行ってるかなと。要するに共通の敵をつくる。公務員が敵と言ってた人もいるし、公務員の給料が高いとか。明らかなわかりやすい敵をつくって。民意を敵という1つの目標にぶつけてやっていくやり方はどうかなと思います。本質とズレてると。
澤本:最たるものが戦争ですからね。
村田:本当にそうです。そのうち、今の日本のやり方でやってると、お金を持ってる人間が全部敵だと言い始めるかもしれない。格差が広がって、貧しくなっていって、貧しい人が普通になってきたら、誰が敵になるか。敵をつくる簡単な選挙をやろうとする人間がいて、民意が集まったときにそういう恐怖はありえると思います。だから、政策とか、みんなのためになるようなもので政治が成り立つべきですし、安易な民意を集める方法が使われていて、それに乗っかる日本の流れは怖いと思ってます。
澤本:確かに、そのほうが乗っかりやすいしね。
権八:さっきの村田さんの話でまさに、今みんな力んでるんじゃないかと。もっと俯瞰して広く見れば、いろいろな価値観があって、そういう考え方もあるのねと言えるはずなのに、すぐ敵と味方を峻別して、どっちかに立場を置こうとしますよね。
村田:今のアメリカがまさにそうで、ヒスパニックは仕事を奪ったと。わかりやすい敵をつくって。ナチスドイツだってユダヤ人を敵にしたり。こんなんじゃ昔の間違ったやり方と手法が変わらないと。
澤本:話を聞いてて、ものすごく納得しちゃう。2年半ほど前に来ていただいたときと比べると、しゃべり方が宣教師っぽいですよね。
権八:ザビエル。
澤本:1個突き抜けてる感じがある。
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