【前回】「京都の伝統工芸を世界に売り込め!「GO ON (ゴオン)」プロジェクト(後編)」はこちら
レアな3人がそろったディスカッション
石阪:本日のテーマは「ヒットさせてと言われても」です。今回、登壇いただいた3人がつくる空間は、いつも多くの人が集まり、しかも人気を集め続けています。その要因はどこにあるのか、手掛けた案件と解説を通して学んでいきたいと思います。
天野:山本宇一さんが、こういう場に登壇されるのは非常に珍しいことなので、今日はかなりレアな3人がそろったなと思っています。
僕が宇一さんと初めてお仕事をしたのは、ジョージクリエイティブカンパニーを立ち上げる前で15年ほど前になります。「CIBONE(シボネ)」という、新しいライフスタイルを提案するショップを立ち上げるときに、クリエーティブディレクターとして参加していただきました。
「シボネ」という店名も宇一さんに決めてもらいました。当時、宇一さんがグッチやプラダのようにカタカナ3文字で、無国籍な名前にしたいと言っていた。実は僕は「なんでシボネだろう?」と疑問に思っていたんですが、実際にオープンしてみるとお客さまから「どこの国のブランド?」とよく聞かれ、まさに狙っていたフラットなブランドづくりに成功したなと感じました。
谷尻さんには、東京ミッドタウン敷地内の芝生広場で行われるデザインイベントで「マウンテンジム」という巨大なジャングルジムを制作してもらいました。
谷尻:最近、公園からジャングルジムが消えていっているそうです。その理由は「高いところから落ちると危ない」ということのようで、そうであれば、なだらかな山形にして、ジャングルジムのワクワク感と安全性のバランスがとれれば、子どもたちに喜んで遊んでもらえるのではないかと企画しました。松の角材を2500本使用して、シンプルな仕組みで、大人が50人ぐらい登れる荷重設計です。
天野:3歳ぐらいの小さな子でも、ビルの2階ぐらいの高さがある頂上まで一気に登って、飽きずに遊んでいましたよね。手触りもすごく良くて、谷尻さんは“ぬくもりのあるデザイン”が、すごくうまいと思いました。
「コーヒーの香り」が漂う1500冊の旅行本が並ぶ店舗
天野:表参道にあるエイチ・アイ・エス店舗のリニューアルを担当しました。現場のリサーチに行くと、多くの人がエイチ・アイ・エスの店舗でパンフレットを取って、隣のカフェでコーヒーを飲みながら見ているんですよ。これは、もったいないなと思って、誰でも入れるパブリックスペースをつくりました。
そして、ブックセレクターの幅允孝さんに選んでもらった約1500冊の旅をテーマにした本を並べました。猿田彦珈琲のスタンドを設置して、コーヒーを飲みながら旅に関する本を読んで気になった場所については、近くにいるエイチ・アイ・エスのコンシェルジュがパンフレットを渡してくれる仕組みです。売り上げもすごく上がりました。
山本:「ロータス」の近くですよね。先日、お店の前を通ったら、トークイベントを開催していました。
天野:月に1回、旅をテーマにしたトークイベントを開催しています。幅さんのファンが来店したり、猿田彦珈琲に引かれる人もいたり、トークイベントに来る人もいたり、人が集まるきっかけを増やすことを意識しています。
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