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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

世界王者の村田選手が登場! エンダム戦を振り返る(ゲスト:村田諒太)【前編】

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防衛するよりも、自分より強い相手と戦いたい

中村:そうなると、今はより高みに上っていこうという気持ちですか? 終わったばかりですが、今の気持ちを教えてください。

村田:僕は今31歳、年が明けたら32歳になります。ボクシング人生自体はそんなに長くないので、やれることをやりたいんですよね。結局、挑戦していくときのほうが得るものが大きくて、守ろうと思っちゃうとなかなか得るものがなくて、プレッシャーしかないので。それで負けたら最悪じゃないですか。だから、守るというよりはどんどん強い相手とやったり、チャレンジしていきたいという気持ちのほうが強いですね。そっちのほうが人間的にも成長できると思います。

中村:スーパー王者を目指して攻めでいきたいという気持ちですか?

村田:そうですね、もっと上を目指して。強い奴、自分より評価が高い奴とやらないと、自分の価値って上がらないので。そこを目指していくしかないですね。

中村:かっこいいな。チャンピオンになっても守りじゃないんですね。

村田:防衛戦と言われると守るイメージがあるんですけど、それが怖くて。ランキング下位の選手とやれと言われると、モチベーションをどうやって保つのか。実際、WBCバンダム級を12回防衛した山中慎介チャンピオンもそういうことを言ってたんです。防衛をずっと続けているけど、強い奴とやるときのほうが気が楽だと。

中村:えー!?

村田:気持ちの持っていき方があると。でも、勝って当たり前、勝つだろうと思われるのはキツイと。それは僕も思いますね。

中村:ミドル級では今、ゲンナジー・ゴロフキン選手が「絶対王者」と言われてますね。Wikipediaで見たところ、村田選手は昔スパーリングされたこともあるんですよね?

村田:ありますよ。強いですけど、スーパースペシャルかというと、そうでもない。僕もデビューして1年ぐらいのときだったので、そのときの僕と今の僕は違いますし。

中村:おー! いいセリフ。

村田:強いと思いますよ。一番評価が高いし、強いのもわかってるんですけど、やって太刀打ちできないか?と言われるとそんな気はないですし。だからやりたいというのもあります。仮にやって負けたとしても、それはそれでいいですよ。挑戦したんだし。挑戦するうえでの自分のメンタルだったり、人生における自己超越的なところには絶対繋がっていくので。むしろ自分の人生のためには良い相手だと思ってます。

中村:他にもミドル級では上り調子で強いと言われているのがサウル・アルバレス選手。

村田:アルバレスとゴロフキンが1戦目をやって、ゴロフキンが勝ってるような試合でしたが引き分けだったんです。2戦目、リマッチするかどうかと言ってるので、そのあたりのビジネスの状況も進んでいかないとね。仮に今すぐ僕が手をあげて、じゃあ次は村田となるかというと、そうではないので。

中村:そうなんですね。

村田:ビッグネーム同士でやっていって、それで大きなビジネスが生まれるので。それで言うと、僕は名前が1つ足りない。

中村:チャンピオンでもですか!?

村田:彼らのほうが1ステージ上なんです。それが現実なので、1ステージ上がるための試合をしなければいけない。そのためには名前のある選手に勝たないといけないし、そうなったときにまた見えてくると思います。興行面で彼らに良い条件を出せて、みんなが同等と思う前に試合をして勝てば同等以上になるわけですし。そういうチャンスがあるなら、それでやってもいいし、どんな形でもそこを目指してやっていくということですね。

中村:なるほど。そう考えると守ってる場合じゃないというか。選手生命の長い選手もいると思うんですが、ボクサーは30代半ばぐらいですか?

村田:35歳が分かれ目だと思うんです。35歳過ぎて強くなった選手は見たことないので。

中村:僕はもう38歳で落ち目ですけど(笑)、村田選手はあと3、4年。

村田:だと思うんです。僕もこの気持ちをどこまで保てるかもわからないし。3、4年ってあっという間じゃないですか。かと言って焦ってもしょうがないんですけど、ちょっと焦りながらやっていきたいという気持ちはありますね。

中村:じゃあ、そこはちょっと生き急がないと。

村田:僕が落ち目のときに闘ってもしょうがないので。勢いがあって、気持ちものってるときに闘わなければいけない。だからこそチャンスが生まれると思っているので、できるんだったらいつでもやりたいという気持ちがあります。

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