データを集めるだけでは「分析」と言えない

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Factから要因を考察する

遼平は緑川の教えに沿って部下である葵と敦に環境分析の資料を収集するように指示を出していた。本日、その資料から何が言えるかについてディスカッションを行う。

13時30分、葵と敦は遼平との打ち合わせのため、会議室のドアをノックした。

「はい、どうぞ」

昼食を早めに済ませて既に準備をしている遼平が言った。
ホワイトボードには3×3のマトリクス表が描かれている。

(筆者作成)

「二人に集めてもらった市場環境を表すデータをこの表を使って整理していくんだ」

遼平は言った。

「なるほど~ データから何が言えるか考えていくのですね」

「今回は市場環境の分析だからFactの背景となる環境変化要因を抽出し、その要因に対して何をすべきか考えていくというプロセスになる。この表を整理することで菓子業界の課題を抽出することができる。データを集めただけでは分析とは言えない。データから何が言えるのか考えることまでして初めて、分析と言える」

前提を伝えた遼平は、早速二人に質問した。

「敦、まず菓子市場の規模の推移から着目すべきFactは何がある?」

「菓子市場は毎年少しずつ増加しています。2016年は3兆円を超える大きな市場と言えます」

「微増傾向にあるということだな。数字で表すと?」

「5年前の2011年よりも5%増加しています。」

「増減率を計算したんだな。5年で5%の成長は僅かだが、着実に増加しているな。低成長時代にあって魅力は大きい。葵さんの調査結果からは何が言える?」

「一世帯当たりの菓子カテゴリーの家計支出を調べてみたのですが、チョコレートの構成比が最も大きく、且つ前年増加率でも最も高いカテゴリーと言えます。その他和生菓子、洋生菓子の金額も大きいです」

「よし。ではその背景としてどんな環境変化要因があるか?まずは菓子小売市場が微増傾向ということだが、日本の人口は2008年から減少傾向にあると言われている。人口が減少しているのに、菓子小売市場が増加しているということはどういうことだろう?」

「少子化と言われて久しいので、シニアが食べているんじゃないですか?」

「確かに元気なシニアは間食もするだろうからな。ここでは『大人が食べるようになった』としておこう。チョコレートの構成比が大きいことについてはどうだい?」

「数年前にチョコレートに含まれるポリフェノールが健康に良いという情報番組があってそれに影響を受けているんじゃないでしょうか」

「そうか、ということは健康意識の高まりという変化要因が考えられるな」

遼平は二人の話を聞いて、環境変化要因毎に、課題欄にそれぞれ記入していった。


【解説】
重要なFactを探した後は、そのFactから何が言えるか考えること=Findingしていきます。
Findingには3つの切り口があります。

  • ①〇〇の現状をまとめると、~といえる ・・・ 解釈のFinding
  • ②要因は、~と考えられる ・・・ 要因のFinding
  • ③だから将来は、~となるだろう ・・・ 予測のFinding

こうしたFindingを行うと、おのずと課題が見えてくるものです。

次ページ 「40代世帯の特性を整理する」へ続く

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