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コラム

ヒーローたちの必殺マーケティング術

スーパー戦隊の「働き方改革」!?ダイバーシティ戦略の果て

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ダイバーシティとメディア表現

またダイバーシティというテーマは、メディアの中で表現する際に極めて繊細な扱いが求められます。

最近ジェンダーや人種の扱いをめぐってテレビ番組やCM がよく炎上しています。送り手側である制作者や企業の意識がズレているという一面は確かにあるかもしれませんが、受け手側である視聴者の不寛容な態度にも問題があるのではないのでしょうか。

送り手側もすっかり萎縮して「とにかく全人類平等に扱わなくてはいけない」とか、「これをしたら不快に思う人がいるから、してはいけない」という意識だけが先回りしすぎて、とんでもない自主規制がテレビの世界に蔓延しています。

このままでは、CMは歌うか、踊るか、タレントが商品を推奨するような人畜無害なものばかりになるかもしれません。

モモレンジャーはもういない

さて。我らがスーパー戦隊シリーズでは、多様性、とりわけジェンダーロールに関しては率先して取り組んできました。

シリーズの最初は「モモレンジャー」という、男勝りな戦い方のお姉さんにギャップ萌えしたものですが、もう十数年前から「ピンク色=女性」という固定観念は取り払われ、男らしさ、女らしさという枠組みに捉われないキャラクター設定がなされています。

ところが、最新作(2018年2月4日現在)の「宇宙戦隊キュウレンジャー」では、昨今のダイバーシティ的なアレに忖度しすぎたのか、なんと12人のレンジャーが登場します。もう多様すぎて何がなんだかわからない。

おそらく人種問題のタブーに配慮して、国籍ではなくいろいろな星座出身となっていますが、スマホの育成ゲームに出てきそうな、同じような顔をした日本の若者たちが演じているので、せっかくの個性が均一化してしまい、キャラクターの見分けがつかないんですよね。獣やアンドロイドを入れて、何とか多国籍感を演出するのですが、さすがに無理があります。

多様性とチームワークがダイナミックなストーリー展開を生み出すはずが、「みんな平等、誰も不快にしない」、当たり障りのない設定のおかげで、 平凡なチームプレーの物語になってしまっているのがとてももったいないと思うんですよね。

うちの娘も、どのキャラに自己投影したらいいのわからないらしく、最終回までキュウレンジャーのおもちゃを欲しがることはありませんでした。

次ページ 「みんな同じでみんないい?」へ続く