コラム

「広告」から「クリエイティビティ」へ【ACCプレミアムトーク】

辺境の異種格闘技。ACC賞「ブランデッド・コミュニケーション部門 」審査委員座談会<Part2>

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新しいアイデアに、新しい褒め方を見つける。

菅野:僕らが仕事に直面している時って、賞だとか部門だとかを意識したりしないじゃないですか。求められているもっともベストなソリューション、世の中に映えるアイデアを考えるのに必死で。結果として、今までの類型にはまっていないアイデアが往々に生まれる。それが一番良いアイデアなんだと思いますし。で、あとで応募する段階になってから、こりゃ応募出来ないなとなってしまう。
カタチが先に決まっている広告賞って、特定の技同士で評価せざるを得ないので、どうしても伝統芸能化する。新しくって本当は褒めるべき仕事から順に、選に漏れていく、ということにもなりえる。そこで漏れてしまうものを拾いたいので、なるべく柔軟な部門にしたいな、と思っています。

東畑:審査がアツイ語り合いになりそう。これはすごく。

嶋浩一郎さん

嶋:この部門の審査委員のごった煮感はすごい好きよ。あと、審査基準がないのもいい。カンヌのチタニウム部門も審査基準がないんだよね。「意義異論はあるけど、新しい広告を見つける部門にクライテリアがあることは事前に想像できる範囲の中で審査をするってことになる」って事務局も言ってる。新しい価値が生まれてくるカテゴリーの尺度が事前に決まってるってことがおかしくないって発想なわけ。すごく納得しない?

菅野:プロジェクト・ファーストなんですね。アイデア・ファーストというか

嶋:そうそう、何が出てくるかわからないのに、最初にクライテリアが決められるわけないじゃん。だから多様な審査委員がいて褒め方の物差しがたくさんあったほうがいいわけ。新しい、褒め方を見つけるのが僕らの仕事でしょ。

菅野:先に、感情としていい仕事だと思って、褒めると決めたあと、なんでいいんだろう、と議論すればいいかなと思っています。

尾上:応募するときカテゴリーを、選ばないといけないですね。

菅野:超越したアイデアなら重複応募ありです。

尾上:カテゴリーすらわからないものとか、謎みたいなものはどこに応募すれば良いですか?

菅野:それはどっかにぶっこんどいてもらえば、審査側で考えましょう。4つのカテゴリー全て、サブカテゴリーの一番最後に「その他」をつけてるんで。その型にはまらなくても全然いい。一応のガイドとして書いただけなので。極端な場合、プロモーションで応募されていたけど、PRで褒めたいなと思ったら、審査側で付け替えましょう。ただ、1カテゴリーしか応募していないのに2つのカテゴリーで褒めたりはしないけど。

嶋:サブカテゴリー全てに「その他」が全部最後についていてイイねえ。このはじっこのあたりから新しい広告の胎動が見えると思うの。これ、新発見がいろいろできると思うの。だから、これ出せるのかな?ってちょっとでも思ったらどんどん出して欲しいね。

東畑幸多さん

東畑:今初めて意味がわかりました、この部門の。新しい褒め方を見つけるってことか!アイデアを考えるとき大切なのが、「差異」と「共感」を見つけることだと思っていて。同じお題なのに、この人全然違うこと考える。という驚きと、でも、ここはわかる。という共感。この振れ幅が大きいほど、強いアイデアが生まれるように。今まで違う村で生きてきて、交流のなかった人たちが、「その他」で集まって混じり合うことで、業界全体のアイデアや生態系が強くなるといいなと。でもアイデアを見るときは、カテゴリーを意識せず、瞬間的に、フィジカルに、心の中で「その手があったか!」と思わず言ってしまう、そんな感覚に素直に反応したい。作り手に一番いい教育をするのは、アウトプットで。良い仕事を見た瞬間に、理論や技法を教わるよりも勉強になるので。知られていない良い仕事を発見したいですね。

嶋:審査の一番大事な仕事は言語化することだよ。この作品がどうして人の心を動かしたか、その手口を言語化していくわけでしょ。それがこれだけ多様なカテゴリーで言語化できたら、コミュニケーションの最前線のTIPS集ができるわけ。楽しみだねえ。

東畑:全部の討論を公開したいぐらい。

菅野:まさにそれを、中村勇吾さんが、この前デザインの座談会の時に提言してくださったので、なるべく実施したいなと思っています。ちゃんと応募してくれた人にフィードバックできるなにかしらを。

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