広告費で成り立つテレビ放送、なのに広告業界だけが蚊帳の外?
さて、ここまでの議論でとっても不思議な点があります。広告業界は蚊帳の外なんですよ。「ちょ、待てよ」と言いたくなります。テレビ放送は広告費で成り立っているのだから、放送がこれからどうなるかも、あるいは4条撤廃したらどうなるかも、鍵を握るのは広告なんです。4条撤廃の議論で本当に笑えちゃったのが、「撤廃したら偏った番組だらけになる!」って言うんだけど、そんな番組にスポンサーがつくわけないじゃない。
「安倍首相の命を受けた放送局ができたら、経済界は自民支持だからスポンサーにつくんでしょ?」と本気で考えてる人もいて、そんなわけない。企業のマーケッターや広告代理店が毎日どんなプレッシャーで仕事してるか知らないでしょ?と言いたい。いまネットのほうではブランドセーフティの議論が深刻になっているのに、「AbeTV」ができても仕方ないわけです。そんな放送局にCM出稿したら、ブランドを毀損してしまう。
広告業界の論理を組み込んでいればもう少し健全に議論ができたのになあと、残念です。でもまだ間に合います。結局、放送改革論議は終わったわけではなくはじまったばかりなんです。
規制改革推進会議の第3次答申は、意外にも穏当と言うか、確かに議論すべき内容でした。というより、すでに議論されてきたことが多いです。でも総務省が普通に進めると進展がないので、「いつまでにここまでやる」と明記された第3次答申によって進まなかった議論が進むのかもしれない。そこは見守るしかないですね。
ただ、この第3次答申もほとんどが放送のコンテンツビジネス展開の話が中心です。広告による放送事業がどうなるべきかはそもそも議論が薄かったように思えます。
そのあたりの「残った課題」については、次回ここでまた書こうと思います。できるだけ間を置かないほうがいいですよね。ええ、頑張ってみます。
「ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜」バックナンバー
- ネット広告を良くしなければ社会が悪くなる、2024年度はその分岐点です。(2024/3/21)
- 広告業界が知っておきたい放送法と放送制度(後篇) 内山教授に聞く「ネット時代のメディアとは?」(2023/4/14)
- 広告業界が知っておきたい放送法と放送制度(前篇) 内山教授に聞く「政治的公平性とは?」(2023/4/14)
- テレビは私たちの発明を待っている!―コネクテッドTVのお話(2023/2/09)
- 伝えたいことが見つかれば、それがブランドジャーナリズム(2022/5/24)
- インターネットで「メディア」は生き残れるのか? JICDAQに取材して考えた(2021/4/30)
- 「楽しくなければテレビじゃない」時代はもう終わっている。(2021/3/25)
- YouTubeは「第6のテレビ局」になろうとしている。(2021/2/16)
新着CM
-
広報
自動運転バスに「AI車掌」導入し車内コミュニケーション、上士幌町
-
販売促進
アサヒコ「豆腐バー」が海外進出 2027年以降は売上構成比30%を目指す
-
広報
N高・S高など、「AI入学式」の生配信を実施
-
広告ビジネス・メディア
東急エージェンシーの新・中計が始動 2つの変革で「体験価値共創企業」へ
-
販売促進
たまごっちが動くOOH? 欧米版の新デザイン発売記念広告
-
AD
広報
新聞社発のAI文章校正サービス「Typoless」で広報のヒヤリを防ぐ
-
販売促進
「紅茶花伝」新CMでマカえんと小芝風花がコラボ 深川麻衣出演ラジオも開始
-
AD
特集
OOHと生活者の交差点を考える
-
クリエイティブ
宣伝会議賞「中高生部門」受賞者が広告界に就職/本田真梨恵さん