好評発売中 月刊ブレーン8月号
特集「地元の魅力は自分たちの手でつくる クリエイターと地域の新しい関係」
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地域と一体となって活動するデザイン会社
懐かしい雰囲気が漂う新潟県上古町商店街。その一角に、築80年の木造2階建ての元酒屋をリノベーションした店舗を構えるのが、hickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ)だ。販売しているのは、新潟の土産品や雑貨、自社商品など。「小さな商店街の個性的なお店」を掲げる同店には、県内はもちろん、約半数の来客が県外から訪れる。
ヒッコリースリートラベラーズを運営する合同会社アレコレは、同じく上古町にオフィスを置くデザイン会社。こうした店舗運営やグッズ制作のほか、地元企業と共同での商品開発、Tシャツや雑貨の受注生産など幅広い業務を行っている。
代表の迫一成さんは、福岡生まれで大学進学をきっかけに新潟に移り住み、卒業後も新潟を活動の場にしている。「東京で仕事をする理由も特に見当たらなかったので、新潟でデザインの仕事を始めました。これまでの僕たちの活動に一貫しているのは、『やりたいこと+できること』を続けてきたこと。初期の頃の自社開発は自己表現の意味合いが強かったのですが、やがて様々なご相談をいただくようになって、今では地域や社会のための開かれた仕事が増えています」。
大学卒業後の2004年頃から、地元の上古町商店街のメンバーとのワークショップを開始した。ここから各種ロゴや商店街のツール、各店舗と共同開発したオリジナル商品などが生まれた。こうした活動の積み重ねもあって、上古町商店街の空き家店舗率は2006年の35%から2011年には3%へと大幅に減少した。
伝統的な新潟のお菓子が生まれ変わった
その象徴となるのが、伝統的な新潟のお菓子を生まれ変わらせてヒットした「浮き星(うきほし)」だ。
「浮き星」は、もち米(あられ)に砂糖蜜をかけたお湯に浮くお菓子。金平糖のように見えるが、お茶などに入れると外側が溶けて中のあられが姿を現す。かつては新潟市民に愛されたお菓子だったが、近年は売り場が縮小していた。
「製造元の明治屋さんは明治33年創業の老舗なのですが、初めてお会いした時、社長は76歳で1人で作っていました。これまで弟子にして欲しいという人も現れたそうなのですが、後継ぎを取るほど売上がないのだと。それを聞いて、職人の熟練の技が失われてしまうのはもったいないと思いました」。
商品が売れれば後継ぎが取れ、後世にお菓子を残せる。そう考え、迫さんは社長にデザインだけではなく、流通を含めて全国に発信させてほしいと提案した。元の名前「ゆか里」を、商品の食べ方や形状を連想させる「浮き星」に変更し、パッケージには名前から連想させるかわいい白鳥のイラストをあしらった。商品もさわやかな色合いにミックスし、手軽やお土産や日常的なお菓子として若い人にも広く楽しんでもらえるようにした。リニューアルしたお菓子は、東京の見本市にも出店した。
その結果は予想以上の大ヒット。かつて年間1000個程度の販売数だったのが、リニューアルした年に年間25000個となり、今では10万個ペースになったというから驚きだ。きっかけとなったのはSNSで、カラフルな色合いが人気となり、アイスクリームやヨーグルトにトッピングしたり、シャンパンに入れて楽しむ写真がInstagramなどに投稿され、広がった。
明治屋には後継者が生まれ、熟練の技は後世に引き継がれることになった。
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