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パパのマネジメントが家庭円満の秘訣!? — 電通パパラボ座談会

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【前回の記事】「自分ごと化するためには「女性の感性」が必要だった — フルタイムシステム」はこちら

結婚や出産を経験しても、一生クリエイティブの仕事で輝き続けたいと考える女性を対象に、今後のキャリア形成を支援するマスメディアンが運営するプロジェクトである「しゅふクリ・ママクリ」。本記事では「しゅふクリ・ママクリ」の事務局が、広告界で仕事と育児を両立しながら活躍する人を紹介したり、その周辺でママ・パパをサポートしている団体を紹介したりしています。
 
今回は、電通の「パパラボ」についてレポートします。パパラボとは共働きパパのインサイトを分析し、これからのパパについて考える研究チームです。今回はパパラボメンバーの皆さんにお集まりいただき、「パパ・ママの違い」や「建設的なコミュニケーション」について議論しながら、パパ・ママの適切な関係について迫っていきます。

—まずは簡単にお一人ずつ自己紹介をお願いします。会社での業務やご家庭についてうかがってもよろしいでしょうか?

柳田:普段は、クライアントの広告キャンペーンのプランニングや、商品開発を中心におこなっています。子どもは2人いて、3歳と1歳で、ともに男の子です。平日は、22時ぐらいまで勤務しているので、なかなか育児はできていないです。専業主婦の妻に、任せっきりですね。ただ朝は6時ぐらいに起きて、子どもの着替えやご飯を食べさせたりし、上の子の幼稚園の送迎をしています。

小泉:私も、柳田同様に、広告戦略のプランニング業務をしています。子どもは2歳の息子が1人。共働きのため、保育園へ預けるなど朝の育児は私が中心で、保育園のお迎えから寝かしつけなど夜の育児は妻がといった分担です。ただ最近は、息子がイヤイヤ期で「パパはいやだ」となってしまうことも多いので、皿洗いや保育園の連絡帳書きなどを子どもが関わらない家事・育児を担当しています。

塚原:私も同様に、共働きです。1歳半の男の子がいるのですが、どうしても夜遅くなってしまうため、平日は育児がなかなかできず、朝の保育園への送りだけです。代わりに、夜帰ってからの家事や、休日の育児・家事などはかなり引き受けています。

左から:塚原啓太氏、小泉健二氏、柳田有一氏

—では次に、みなさんが所属している「パパラボ」についてですが、発足の経緯や、活動内容について教えていただけますか。

小泉:家族の消費行動が変わってきていると感じていて、それを分析するチームをつくろうというのが経緯です。また社会情勢として共働き世帯が増加するなか、データを知りたいというクライアントのニーズが高まると予想してのことです。

柳田:これまで子ども用品を購入するにあたって、母親の意見が中心でしたが、父親の意見がかなり加味されてきているように感じます。ファミリーというターゲットはこれまでママ視点オンリーでしたが、パパ視点を新たに加えて、マーケティングするという考え方です。パパラボというチームで、さまざまなデータを収集し、パパ・ママの考え方の違い、消費行動の違いなどをあぶり出しています。

—そのパパ・ママの違いについて詳しく教えていただけますか?

小泉:たとえば、育児・家事のタスクの捉え方について大きなギャップがあるように感じます。育児・家事を、パパはいかに早くこなすかにフォーカスしがちなのですが、ママは全体を見ていています。そのギャップによって、不満が生まれてしまいます。

柳田:ママは一日を通してやらないといけないタスクを俯瞰して把握しているけど、パパは個別タスクのみを見てしまっています。どうやったら短時間で皿洗いができるか、どうやったら効率よく洗濯することができるかといった捉え方をしてしまいます。対してママは、一日をいかにマネジメントするかを考えている。子どもを寝かしつける時間から逆算してお風呂に入れたり、夕ご飯を食べさせたりと、逆算しています。

しかし、パパはタスクごとに見てしまっているので、「30分押しなら全体的に後ろだおしにすればいいや」と考えてしまっている。家事・育児を業務的に捉えてしまっているパパに対して、ママはイラッとしてしまうのだと思います。

塚原:全体のタスクを洗い出して、どれをどちらが担当すると決めてしまったほうが、部分最適的な考えの男性としてはやりやすいんですよ。ただそうすると、これまでこなしてきた毎朝のゴミ捨てがゴミみたいなタスクだったということが判明するんですけどね(笑)。

小泉:本来はパパも家事・育児に対して主体的であるべきなのですが、サポート的になってしまっている節はあります。そういう面で、ママはパパをマネジメントする必要があるのかもしれません。

塚原啓太氏

塚原:最近妻から言われたのですが、「子どもが生まれるまで、あなたの家事レベルは0レベルだったけど、いまはすべてできる。私に万が一のことがあっても任せられる」と。妻は、のせ上手ほめ上手で、わたしの泳がせ方がうまかったんです。ある意味、マネジメントですよね。

小泉:「家事・育児で褒められたいか」についてヒアリングすると、ママが約8割と高いのですが、一方パパも6割が「褒められたい」と回答しています。ママからすると甘えるな! といった感想だと思うのですが、円滑に進めるなら褒めて伸ばすというのも手だと思います。

—ママも仕事的な視点を家事・育児に取り込むとうまくいくということですね。そのほかでパパ・ママの違いについてありますか?

柳田有一氏

柳田:比較対象が違うという面でのギャップもあります。パパは世の中平均の男性像との比較を重視する傾向があります。一方で、ママは隣の家の誰々さんやパパタレントなど具体的な人物と比較しているように思います。具体的な人物、つまり家事・育児に積極的な優れたパパと比較しても、落胆するだけですし、それを引き合いに出してもコミュニケーションはうまくいかない。その辺の違いを理解していれば、対策の打ちようがある気がします。

—パパ・ママの考え方の違いについてあらかじめ理解していると軋轢はなくなりそうですね。ではつぎに消費の違いについてフォーカスしていきたいと思います。

インタビューの続きは 『しゅふクリ・ママクリ』 へ

柳田有一(やなぎた・ゆういち)
株式会社電通
マーケティングソリューション局
ディレクショングループ
シニア・プランニング・マネージャー

 

小泉健二(こいずみ・けんじ)
株式会社電通
マーケティングソリューション局
ディレクショングループ
ストラテジック・プランナー

 

塚原啓太(つかはら・けいた)
株式会社電通
ラジオテレビ局
業務統括部